One of a Kind
UK脱退後にリリースされた「ブラフォード」名義の作品、イエスやクリムゾンは好きだが「ブラフォード」はちょっと、、、という人間はけっこう多く、理由を問いただすと「意味がわからない」「つまらない」「よさがわからない」といった答えが返ってくる。しかし私は本作と前作「フィールズグッド」はイエスやクリムゾンの作品に負けない完成度の高さがあり、個人的には「こわれもの」や「レッド」以上にターンテーブルに乗ることが多いアルバムだった。(本作も車のカーステで100回以上は聞いている。前作は150回以上) このアルバムの魅力は曲の良さもさることながらアランホールズワース、デーブスチュワート、ジェフバーリン、ビルの4人の高い演奏技能が魅力で、驚嘆させられるようなプレイが満載である。特にアランホールズワースの本作と前作のギタープレイはアランのディスコグラフィーの中でも最高の部類に入ると思う。ビルとデーブの楽曲がアランのギターと非常に相性が良く、アランの持ち味を非常によく引き出していると思う。ビルのドラムはシモンズの電子ドラムに移行する直前の時期で、アナログのドラムなのにドラムサウンドが無機質で非常にクリアな音に仕上げられている。(YMOのドラムもアナログなのに無機質なサウンドに聞こえた)アランはこのバンドを非常に気に入っていたのだが、レコード会社からUKのような曲を作れという圧力を受けるようになりバンドに嫌気がさして脱退してしまう。この時期にこのメンバーだからこそ生まれた奇跡のようなこのアルバムを多くの人が耳にしてほしいと切に願っている。タイトル曲のパート1は、当時のディスコで流れてもおかしくないような流麗なディスコ調シンセビートとギターのからみが絶妙で、ディスコチャートを視野に入れて作られたのかのような曲だと思う。
ビル・ブルーフォード自伝
誤植など問題では無い。高価格も何ら問題無い。そんな事を気にするような輩がプログレ、しかもフリップがらみの音楽に首を突っ込んだりはしない。する訳が無い。この本は買った者に校正する悦びさえも与えてくれるのだ。この本を買った者は皆等しく満足している。間違いない。内容については語らない。語る必要が無い素晴らしい内容だ。いつまでたっても中古市場に安値で出回らないという事実がそれらを証明している。誤植をあげつらい、価格を云々するような輩はこの書籍が日本で出版されたという事実に、もう少し感謝したらどうか。私は訳者、発行者の多大な努力と貢献に対し深い感謝の意を表したいと思う。
Bill Bruford: The Autobiography: Yes, King Crimson, Earthworks, and More
高校時代に彼がドラムを担当したYesのClose to the Edgeを聴いて衝撃を受け,それ以来,ある意味で彼のおっかけをやっているみたいに音楽に接していた自分にとっては,英語という敷居の高さを超えて是非読んでみたい本と思い購入しました.この本に彼が活躍したバンドの舞台裏の楽屋話や暴露話を過剰に期待される方にはお薦めしません.もちろん,その手の内容(例えば,ロバート・フリップがビルの子供にどういう接し方をする人だったかとか)もあるのですが,すべては彼自身の音楽に対する姿勢,音楽を職業としている生活の在り方に対する姿勢,さらにもっと大きくは人生の過ごし方に対する姿勢を示すために必要な逸話として提供されています.ほのめかしや,謎めいた書き方をしていることも多いので,長年の彼のファンならばニヤリとできる反面,彼を全く知らない人にとっては何を言いたいのかが分からないところも多いかもしれません.ただ,それでも彼の音楽,そして人生に対する真摯な(でも,多少シニカルな)姿勢には共感するところ大です.YesもKing CrimsonもGenesisもいずれも大ヒット作を飛ばしたバンドではありながら,華やかなサクセス・ストーリは語られません.むしろ何故彼がClose to the Edgeの出来には自負を持ちながらも,それをライブで演奏したいとは思わなかったのか,Crimsonで演奏すると言うことのしんどさはどんなものなのか,Genesisへの参加はなぜ短期になったのか,そしてなぜロック・バンドをやることはやめてジャズをしていたのか,などについての記述を通してBill Brufordという太鼓叩き,または音楽家像が浮かび上がってきます.成功と幸福とは違うことなど,ロックやジャズの分野以外の音楽でも,いや音楽家でない人にとっても人生観を考える上で参考になる部分も多い自伝だと思いました.
Feels Good to Me
最初に出た時にレコードで買いました。レコードの針を落として耳にした時なんだこれって感じでしたが,ドラムはもちろん期待通りでしたが,ギターもベースもすばらしく,これがきっかけでホールズワースの大ファンになりました。かれのレコード,CDはほとんど入手しました。異論はもちろんあるかもしれませんが,完璧の一枚だと私は思います。