ストーリーよりも､ノリを楽しむ作品。
パンク・ファッションが､古いようでいて､
古臭くないのも良い。
雑誌CUTIEを好きな女子なら､楽しめそう。
スーパーミルクチャンのファンにも
オススメかも。でも､全体的に見たら､
ミルクチャンよりヌルいです。

　思えば、子どもの頃に読んだときは「星座をかけめぐる幻想的でかなしい汽車旅物語」といった程度の印象だったような気がする。賢治の享年を過ぎた今、改めて読み返すと、この作品に込めた賢治の考えの深さに思わず背筋が伸びた。
　賢治は、岩手県農民のくらしを何とか良くしようと様々な社会実践を試行した３７歳の短い生涯の終着駅にむかう病床の中でこの童話を書いている。縦糸は生と死、横糸は宇宙とふるさと。うつくしさとかなしさが交差する風景の中を、様々な人との出会いが少年に影響を与えながら夜汽車が立体的に進む。
　賢治の没後に出版されたこの童話は、「ほんとうの幸せとは何だろう」と考える世界中の人々の魂を揺さぶりつづけている、日本を代表する童話作家のまぎれもない最高傑作である。

　テレビシリーズの第６・７話と第１１話をベースにした中篇『闇の慟哭』と短編『待ち人』の二本立てになっています。アニメ版との大きな違いは、登場人物の視点が必ずしも主人公だけに限定されていないことです。『闇の慟哭』では、主人公である有紀学の空間鉄道警備隊員としての成長を語るにあたり、主人公の視点と、爆破テロリストの栢杜ショウの視点を通じて描かれているので、心理的にも細やかでドラマ的にも深みを持たせているのが良かったと思います。銀河鉄道に対する憎悪からテロに走る栢杜の生い立ちは、どこか『銀河鉄道９９９』の鉄郎を想起させるものがあったりと興味が尽きませんでした。『待ち人』では、アニメで描かれたバルジ隊長のロマンスを、相手のカタリナ・シェリルを通すのではなく、レストランのウェイターからというのが、ノベライズらしい意外性もあって面白く読めました。イラストに関しては登場人物の紹介や、文中にも少なからずあるので、アニメ版未見の方でも、『銀河鉄道物語』のエッセンスを体験できるのではないでしょうか。