グラン・ヴァカンス―廃園の天使〈1〉 (ハヤカワ文庫JA)
日本語がこんなに表現力豊かな言葉だったというのを初めて認識。
優しくて残酷・美しくてグロテスクなどの相反するイメージの奔流に圧倒されてしまい、読み終えてしばらくは頭がクラクラして他のことを何も考えられませんでした。
こんなモノを書く人の頭の中を割ってのぞいてみたい・・というのは思い付く最大級の褒め言葉デス。
優しくて残酷・美しくてグロテスクなどの相反するイメージの奔流に圧倒されてしまい、読み終えてしばらくは頭がクラクラして他のことを何も考えられませんでした。
こんなモノを書く人の頭の中を割ってのぞいてみたい・・というのは思い付く最大級の褒め言葉デス。
象られた力
味覚や視覚といった五感に関する描写・語彙の豊富さ、物語を物語る語りの巧みさ、描かれる異世界の幻想的な美しさなど、どれも一級品のできばえではないでしょうか。
初出がSFマガジンで、早川書房のベストSF2004でも一位になっているようにSFというジャンルの中で評価されることの多いようですが、ミステリーや幻想文学といったジャンルの作品を多く読む人にも読んでほしいと思います。
初出がSFマガジンで、早川書房のベストSF2004でも一位になっているようにSFというジャンルの中で評価されることの多いようですが、ミステリーや幻想文学といったジャンルの作品を多く読む人にも読んでほしいと思います。
グラン・ヴァカンス 廃園の天使Ⅰ
シリーズ物の第1巻です。
第2巻は、ラギッド・ガール 廃園の天使 2
全3巻の予定ですが、3巻はまだ出版されていません。
全三巻予定ですが、本書は一巻で完結しています。
本書で語られなかった謎は多く、未回収の伏線もいっぱいありますが、
メインストーリーは一段落していて本書だけでも満足感は得られました。
登場人物は、人間と見分けがつかないほどの知性と人間性を持ち
限りなく人間に近い高度AI。
この高度なAIを、現実との違いに意味がない程リアルな仮想空間に居住させ、
仮想空間上に町が出来ています。
仮想空間にリアルな町を作って、そこで人間が行っていたことは、
ダークな欲望の追及でした。高度な科学技術を駆使できるようになっても、
人間は宿業から逃れられないようです。
科学技術を明るい未来につなげるのではなく、
ダークな世界の創生に使ったという設定は衝撃でした。
人間以上に人間的なAIは、キャラ設定も宿業のように業の深い設定です。
したがって、AIたちの営みは、人間の業の深さを浮き彫りにします。
宿業を筆にしているので、本作には、グロテスクな描写もあります。
虐殺や陵辱などもむき出しのまま扱っています。
そういうのが嫌いな人は要注意です。
なお、最先端SFではありません。
作者は「構想からだいぶ時間がたっているのでSFとしての新鮮さは無い」
とあとがきで書いています。
本作の執筆は2001年ごろで10年以上前。「中途半端な古さではないので、
かえって古臭さを感じないかもしれない」とも作者は言っています。
第2巻は、ラギッド・ガール 廃園の天使 2
全3巻の予定ですが、3巻はまだ出版されていません。
全三巻予定ですが、本書は一巻で完結しています。
本書で語られなかった謎は多く、未回収の伏線もいっぱいありますが、
メインストーリーは一段落していて本書だけでも満足感は得られました。
登場人物は、人間と見分けがつかないほどの知性と人間性を持ち
限りなく人間に近い高度AI。
この高度なAIを、現実との違いに意味がない程リアルな仮想空間に居住させ、
仮想空間上に町が出来ています。
仮想空間にリアルな町を作って、そこで人間が行っていたことは、
ダークな欲望の追及でした。高度な科学技術を駆使できるようになっても、
人間は宿業から逃れられないようです。
科学技術を明るい未来につなげるのではなく、
ダークな世界の創生に使ったという設定は衝撃でした。
人間以上に人間的なAIは、キャラ設定も宿業のように業の深い設定です。
したがって、AIたちの営みは、人間の業の深さを浮き彫りにします。
宿業を筆にしているので、本作には、グロテスクな描写もあります。
虐殺や陵辱などもむき出しのまま扱っています。
そういうのが嫌いな人は要注意です。
なお、最先端SFではありません。
作者は「構想からだいぶ時間がたっているのでSFとしての新鮮さは無い」
とあとがきで書いています。
本作の執筆は2001年ごろで10年以上前。「中途半端な古さではないので、
かえって古臭さを感じないかもしれない」とも作者は言っています。