花酔ひ (文春文庫)
『ダブル・ファンタジー』→『アダルト・エデュケーション』→『放蕩記』と続いた黒村山の4作目。かなり張りつめた感じの前3作に比べ、今回はエロさの中に独特の余裕というか「滑稽味」があるのが印象に残った。例えば直恵みたいな女性はあまり村山作品で見たことないし、ドS千桜に屈服するドM誠司の変態ぶりも「面白うてやがて哀しき」という感じ。4人の男女の視点の切り替えがめまぐるしく、この長さでは掘り下げが足りないんではと懸念したが、最後は火事場的なテンションでかなり満腹にしてくれたのはさすが。前作『放蕩記』がヘビーだった分、エンタメとしてはこちらの方が不思議な突き抜け感あり。京都弁も一役買っているのかも。
アダルト・エデュケーション (幻冬舎文庫)
著者の性愛表現は、細部までなめらかで、微妙な感覚を
的確に表し、エロにただどん欲で単純な男性側からでは、
全くわからないような領域に達している。
このレビューのタイトルにした表現の他には、
「私のからだに仕掛けてくるすべて」
「グミのような色をした胸の飾り」
「濡れそぼった吸盤のようなそこ」
「彼女とこういう関係になってからというもの、
わたしは爪を短く切るようになった」
「両脚を凶暴な鋏みたいに広げて」
「膝と膝をこすり合わせないようにするだけで精一杯」
「酸味と塩気のまじったようなこの味」
「じかにみるよりどきどきする。」
「忘我の極み。恍惚の行き止まり。」
などの表現には感心し、唸った。
重ねて、女性の悲しい心情を吐露する表現も秀逸。
「ずきずきする。あそこより、頭より、気持ちが。」
「喜んでくれるのなら、いくらだって我慢してみせる。」
「この世で、あたしだけがあげることのできる贈り物」
「・・・抱いてくれると、私はたちまち安定する。」
「求められることの幸福」
「どうせ哀しくなるだけとわかっていても、だから私たちは
また交わろうとするのだ。」
「誰かと幸せでいたいなら、相手の秘密など知ろうとしては
いけないのだ。」
安っぽい官能小説だと、読者を興奮させる隠(淫)語の羅列
に終わるところを、女性の心とからだにまで訴えてくる表現にしたところは、
「ダブルファンタジー」を凌ぐ出来栄えである。
短編ということで、いろいろな女性を描くことができている
ことも正解だった。
ただ、もう少し、浅はか過ぎる男性像のところを、違う
男性もいるんだというパターンも欲しかったかな。
せっかくの短編だから。
上の数々の科白を見て、動脈の動きを心身で感じた方、
とりあえず読んでみてください。。。
的確に表し、エロにただどん欲で単純な男性側からでは、
全くわからないような領域に達している。
このレビューのタイトルにした表現の他には、
「私のからだに仕掛けてくるすべて」
「グミのような色をした胸の飾り」
「濡れそぼった吸盤のようなそこ」
「彼女とこういう関係になってからというもの、
わたしは爪を短く切るようになった」
「両脚を凶暴な鋏みたいに広げて」
「膝と膝をこすり合わせないようにするだけで精一杯」
「酸味と塩気のまじったようなこの味」
「じかにみるよりどきどきする。」
「忘我の極み。恍惚の行き止まり。」
などの表現には感心し、唸った。
重ねて、女性の悲しい心情を吐露する表現も秀逸。
「ずきずきする。あそこより、頭より、気持ちが。」
「喜んでくれるのなら、いくらだって我慢してみせる。」
「この世で、あたしだけがあげることのできる贈り物」
「・・・抱いてくれると、私はたちまち安定する。」
「求められることの幸福」
「どうせ哀しくなるだけとわかっていても、だから私たちは
また交わろうとするのだ。」
「誰かと幸せでいたいなら、相手の秘密など知ろうとしては
いけないのだ。」
安っぽい官能小説だと、読者を興奮させる隠(淫)語の羅列
に終わるところを、女性の心とからだにまで訴えてくる表現にしたところは、
「ダブルファンタジー」を凌ぐ出来栄えである。
短編ということで、いろいろな女性を描くことができている
ことも正解だった。
ただ、もう少し、浅はか過ぎる男性像のところを、違う
男性もいるんだというパターンも欲しかったかな。
せっかくの短編だから。
上の数々の科白を見て、動脈の動きを心身で感じた方、
とりあえず読んでみてください。。。
放蕩記 (集英社文庫)
レビューの評価が低いのが多くて驚きました。
私は普段、感動したり感激したり、一気に読んでしまったり・・・
読んだ時に何かがゾワァーっとくる本でも、内容を結構すぐに忘れてしまうほど記憶力が悪い、というか、飽きっぽいです。
ですが、
そんな私が、発売してすぐ読んだこの本の内容を今でも覚えています。
きっと、この本を低評価した方々はきちんと機能している家族の中や、それを担ってくれる暖かい人によって育てられ、大人になることができたのではないでしょうか。
客観的に見て、機能不全家族と呼ばれる家庭で育った(育てられている)私からすれば、この主人公は甘えているわけでも、人のせいにしているわけでも、なんでもないと思います。
この主人公のような悲しみを解る人もいるんです。
ですので、私はこの本を読んで良かったと思っています。
私は普段、感動したり感激したり、一気に読んでしまったり・・・
読んだ時に何かがゾワァーっとくる本でも、内容を結構すぐに忘れてしまうほど記憶力が悪い、というか、飽きっぽいです。
ですが、
そんな私が、発売してすぐ読んだこの本の内容を今でも覚えています。
きっと、この本を低評価した方々はきちんと機能している家族の中や、それを担ってくれる暖かい人によって育てられ、大人になることができたのではないでしょうか。
客観的に見て、機能不全家族と呼ばれる家庭で育った(育てられている)私からすれば、この主人公は甘えているわけでも、人のせいにしているわけでも、なんでもないと思います。
この主人公のような悲しみを解る人もいるんです。
ですので、私はこの本を読んで良かったと思っています。