私がガロを購読するようになってから特にブリリアントな存在と感じたのがつりたくにこ女史の作品です。
それは初期の作品ではなく、「僕の妻はアクロバットをやっている」や「ＭＯＮＥＹ」「空は青空　雲ひとつ」でした。女流とは思えない大胆な着想が当時なぜ量産されないのか疑問でした。不治の病に冒されていたことはかなり後で知りましたが、「ゲゲゲの女房」で南明奈演じる女流作家であるとは知りませんでした。「空は青空　雲ひとつ」のシュールリアリズムの傑作は、シュールリアリズム仏詩人ジャックプレヴェールの厭戦思想をほうふつさせ、矛盾した会話など描かれた美しい曲線の画に惹かれました。白戸三平の公募に応える形でデビューし、「女」という作品は十代で描かれた物とは思えない出来と思います。「六の宮姫子の悲劇」は自画像という評価もあるようですが、ひとつのことにあれだけ集中する健気さが男性の関心を集中させる魅力はゲゲゲの女房の女流作家そのものといえます。大事な蔵書としたい一冊です。