崇拝してしまう。おすすめ度
★★★★★
躊躇したけど、やっぱこの作品については語りたいので書きます。
ラブレスの魅力が何かということについて考えると、まずそのエポックメイキングなサウンドメイクに論点が行くわけですが、
それについてはもう何百何千の先人が薀蓄を述べているので私はここでは書きません。
あまり触れられていないのが不思議なのですが、この作品、まずメロディーがいいとおもいませんか?私はこれこそこの作品を名盤たらしめる一番の理由であると捉えています。
ケヴィンシールズの書く曲は独特です。ISN'T ANYTHING収録のFeed Me With Your Kissやアルバム未収録のYou Made Me Realiseあたりが特に顕著で、
これらの曲で彼はアグレッシブな曲調に乗せてコードをかき鳴らしていますのですが、そのコードの進行の仕方が実にスリリングでカッコいいのです。
あんな曲調今まで聞いたこと無かった。初めて聴いた時はとてつもないショックを受けたものです。
今作に於いてそれらの要素は、さらに甘美な世界観をもってしてマイブラのイメージを完全に確立しました。
soonあたりははいうに及ばずですが、その一つ前のwhat you wantあたりをよくきいてみてください。
面白いコード進行だと思いませんか?心はどうしようもなく高揚しているのに、なんでこんな寂しくて居心地がいいんだろうか。
この曲調はケヴィンが例の衝撃的な音響の世界観を補完するためだけに編み出したものであると私は考えています。
マイブラのフォロワーと呼ばれる人たちがこの一枚に追いつけないのは、勿論音作りの才能もあるでしょうが、その音響の奥行きに呼応するメロディを持っていないからだと思います。
完璧と呼ばれるにはやはりワケがある。表面だけなぞっただけでは永遠にこのクオリティには追いつけないでしょう。
スタンダードにして孤高の逸品。
シューゲイザーのバイブル
おすすめ度 ★★★★★
絶妙なバランスで歪んだノイズは
フェミニンなウィスパーボイスと絡みつき
聖なる輝き放ちながら
美しいメロディーへと変化して
聴覚にやわらかく染み込んでくる。
時代を超えて人を感動させる音。
概要
マイ・ブラッディ・ヴァレンタインは全キャリアを通して、ケヴィン・シールズが頭の中に思い描いた完璧なギターノイズを追い求めた。ピュアで暖かく、中性的でありながらどっぷりとセクシーな音の洪水を。本作には圧倒されるばかりだ。シールズとビリンダ・ブッチャーのギターとボーカルはひとつに溶けあい、おぼろげなオーケストラのように響く。リズムセクションは荘厳なリズムを刻みながら、ときおり(シングル曲「Soon」のように)ダンスビートを炸裂させ、ゆがみひずんだ生音を浮かび上がらせる。猛烈なまでに騒々しいが、攻撃的というより魅惑的な本作は、ひとつのトラックから次のトラックへと溶岩流のようによどみなく流れ、すべてを包みこんで至福の轟音(ごうおん)を鳴らし、恋人のからだの鼓動のように脈打っている。(Douglas Wolk, Amazon.com)