スティーリーダンのアルバムに駄作なんてありえないけどどれか一枚といわれるとこれ。ガウチョまでいってしまうとクリスタルみたいに磨きあげられすぎててちょっと息苦しくなるんで。でもこのどうやったらこの完成度になるのかなーと思ったら当時最も勢いのあったスタジオミュージシャンたちをかき集め、長期間に渡って押さえたスタジオで毎日毎日同じパートを延々と録り直しさせたとか。マイケルマクドナルドが参加してるとこも俺的にポイント高し。
完璧と言う言葉に相応しいおすすめ度
★★★★★
メンバーの脱退等によって、Donald FagenとWalter Beckerの2人となったSteely Danではあるが、実際Steely Danの歴史上、この2人のコンビによる時期こそ、黄金時代と呼んでも過言ではないだろう。そして、この"Aja"というアルバムこそ、彼らを代表する名盤として知られている。この70年代後半という時期は、白人の音楽と黒人の音楽がクロスオーヴァーという形で融合される事が風潮としてあり、このSteely Danも例に漏れず、ホワイトによるユニットでありながら、ソウルフルなグルーヴが前面に押し出された洗練された音楽が特徴だ。
彼等を指し示すのに相応しい言葉は正に「完璧主義」なのだろうと思う。様々なゲストプレイヤーとスタジオで緻密な音を積み上げるその姿勢は、正に職人と言えるべきもので、常に音源の完成度と評価は高い事で知られている。この"Aja"もLarry Carlton、Joe Sample、Chuck Rainey、Steve Gaddと言った誰もが知る名プレイヤーが制作に参加している。ここに収録されている楽曲を聴いていて思うのだが、1音たりとも無駄というものが感じられない。必要最小限の音だけを使用し、まるで空間さえもアンサンブルの一つとして捉え、そして名プレイヤー達の楽器がせめぎ合うように交錯していく。そうして生み出された音源の心地良さは、感嘆を洩らしてしまうほどだ。
最後に、このアルバムの印象的なジャケットも注目せざるを得ない部分だと思う。日本の生んだ国際派モデル、山口小夜子の艶やかなその存在感は、正に"Aja(彩)"という言葉を示すのに相応しいものだと思う。このジャケットがより一層"Aja"というアルバムのコンセプトを、誰の目にも明確なビジュアルとして表現し、この素晴らしい音源の数々を引き締める役割を担っていたように思う。これだけの表現を1枚の写真のみで表現出来る彼女自身もまた、「完璧主義者」なのだと思う。名盤と呼ばれる作品は、更なる完成度を求め、必然的に多くの芸術を引き寄せる力があるように思う。これだけの贅沢な気分にさせられる作品はあまり無い。
小夜子の魅力
おすすめ度 ★★★★★
「Steely Dan」というグループ(というよりユニット)はデビュー時の「do it again」とこのajaとを聞き比べたらほんまに同じ連中かと思うほど色合いが違っている。ajaあたりになると我輩としましてはやや苦手でありんすが、それでも聞き続けしかも「なかなかいいではござらぬか」とまで言わしめたのは他ならぬジャケットの魅力のせいでありまする。日本人もなかなかすてたものではござらぬと思わせてくれたのはオリンピックの金メダルでもなくこのジャケットの写真であったような気がする。ご冥福を祈ります。合掌。
概要
77年に発表され、洗練の極みの彼らの最高傑作。前作『幻想の摩天楼』からオリジナルメンバーは、ドナルド・フェイゲンとウォルター・ベッカーの2人だけになってしまった。そんな彼らに超腕利きゲストミュージシャンを加えて制作された、極上の都市型音楽アルバム。
おなじみのエンジニアのロジャー・ニコルズとプロデューサーのゲイリー・カッツの頭脳陣に、ラリー・カールトン、リー・リトナー、チャック・レイニー、ジョー・サンプル、スティーブ・ガッド、バーナード・パーディらが参加。リラックスして聴き流してよし、じっくり聴き込んでもよし。(麻路 稔)