イランのほのぼのコメディーおすすめ度
★★★☆☆
ジグザグ道3部作の第1弾です。
宿題をちゃんとノートにしてこなければ退学にする、と言われた友だちのノートを間違えて持って帰ってしまった少年がなんとか友だちにノートを返そうと家を探し回る、そんなストーリー。
まず、はじめの教室のドアだけを映したシーンが微妙に長くていい感じ、先生が来る前の教室はあんなものでしょう。家に帰ってからノートに気付き、お母さんに「返してくる」と言っても、「宿題が先」「宿題しなさい」「しないとぶつわよ」と言われるトコは万国共通だなぁ、と。イラン映画なのに昔の自分を思い出すみたいなトコがいい。道々の大人たちがまともに取り合ってくれない場面は、もう社会の縮図ですね。もちろん他人同士なのでプライオリティーが違ってくるのは仕方ないんで!すが・・。
好きなシーンは、少年が返しに行く途中で、丘、というか小さい山みたいな場所を一人かけるシーンがあるんですが・・映されている映像の8割が丘で、あと2割に少年と空が映っていて、その空が、サイコ―にリアルでした!
あぁ、なんて言うんだろう・・・・あの曇り具合は日本の空です。そして、むかし僕が見上げたことのある空でもあった。
概要
イランの名匠アッバス・キアロスタミ監督が、世界にその名を知らしめた初期の傑作。主人公は、間違ってクラスメートの宿題用ノートを持ち帰ってしまった少年。「宿題を忘れた者は退学になる」と先生に聞かされていた彼は、ノートを返そうと、行ったことのない友だちの家を探す。
タイトルがすべてを表しているように、ストーリーはいたってシンプルだが、イラン北部の小さな村の風景を見ているだけで飽きない。ジグザグな山道や、並んだ扉などをとらえた映像にはシュールさも漂う。主人公の少年の戸惑う様子をはじめ、子役のみずみずしい表情とともに、大人たちの無責任な言葉が苦笑を誘い、映画全体を覆うのはおだやかな空気感だ。シロウトの出演者を多用し、ドキュメンタリータッチでフィクションの物語を撮るというイラン映画の見本とも言える本作。この3年後、同監督が大地震後の同じ村を舞台に撮った『そして人生はつづく』とあわせて見れば、より感慨が深まるはず。(斉藤博昭)