オリヒメ(CRコミックスDX/ふくやまけいこ作品集) (CR COMICS DX)
長い間に溜まっていた様々なジャンルの超短編を集め、「とある女学校の物置から出てきた文集」を二人の女学生が読み進めてゆく・・・という形式で編んだ短篇集。
久しぶりにふくやまさんのハートフルなお話しをたっぷりと読ませてもらいました。かなりの作品が昭和の高度成長期を舞台にしたような、私たちには遠く想い出の中
にだけ存在する「あの頃」の空気が感じられて、時に目頭が熱くなってしかたがありませんでした。
26話あり感じ入った作品は多いのですが、特に好きな一編のあらすじをご紹介。
「えんぴつ」
文子ちゃんは先生に夏休みの宿題の作文をせっつかれています。みんな夏の遊びや旅行を作文にしますが、文子ちゃんの両親はやさぐれた人達で彼女の心情など、まるで
理解しようとしない人達です。ある日同級生のシンちゃんが教室の文子ちゃんの机の上にえんぴつを置き「これは書いたことが本当になるえんぴつ」とメモがありました。もちろん
信じられませんが、文子ちゃんはついつい家族で海水浴に行って楽しかった・・・と望みを作文に書きました。
15年後の電車の中に一人娘を連れて海水浴から帰る若い夫婦が、その二人は・・・・。
話の話 (CR COMICS DX)
普段漫画のレビューは書かないのですが…たまたま,好きな漫画を描く方がふくやまけいこさんを薦められていたので,何気なく買ってみたのがこの一冊でした。
一話一話が魅力的で,飽きることなく最後まで読めました。読み終わった時には,心が穏やかに温まっていて,この作品のキャラクターたちを好きになっていました。夢中で物語の世界を楽しんでいた子供の頃の気持ちを,少し思い出したような気がします。
最近では,枕元の一冊になっていて,ゆったりする時間のあるときに目を通しています。
緑の髪のアミー (バンブーコミックス )
むりやりモノクロに起こしたためなのか部分的になんだかいまいちで、
もとのかわいさが半減してたりします。
カラーにすれば価格にはねかえりますし、出版社としては当然の選択かもしれませんが
もったいない!
筒井漫画涜本
筒井康隆原作の小説を下敷きに漫画化したものを集めたのがこれ。社会風刺にもならない相当にバカバカしいものもあるが、走り始めたら止まらない筒井の破壊性みたいなものは、案外漫画でうまく表せるようだ。「鬱屈した批評精神」と「突発的暴力性」が筒井の持ち味だが、これはちょっと評価が難しい。難しいことを考えずに読めばそれなりに楽しめると思う。
メルモちゃん 1 (リュウコミックス)
手塚作品はあまり思い入れもなく個々の原作も数度読んだくらいの人間ですので
あまり偉そうな事は言えないのですが
いろんなキャラクターを原作のイメージを損なう事無くふくやまワールドの中で使いこなしてしまってるのが凄い
各キャラに違和感があるわけでもなく、それでいって原作のまま丸写しの造形と言う訳でもなく
自由奔放に操ってるのに全く破綻してない
ふくやまさんの手塚作品に対する愛情がよく伝わるし
思い入れが強い場合、多くの作家はえてして読者がおいてけぼりにしやすそうな気がするんですが
そんな所が全くない
愛情と、読者に対する楽しませよう読ませようと言うバランスが高いポイントで合致してる、買って損の無い作品だと思います