九つの殺人メルヘン (光文社文庫)
「殺人」と「メルヘン」という似ても似つかない単語が平然と並ぶこの題名につられて手に取りました。これは正直ミステリーというより、グリム童話の新しい解釈と、そこココに散りばめられた雑学が、成る程という感じで面白かったです。しかしさすがに9つ目の事件には「そうきたか!」でした。ただ残念なのは、テレビのネタが古すぎて殆ど分からなかったという点でしょう。
ヒミコの夏 (PHP文庫)
作者にして珍しい題材です。表紙も今までとは違います。
お米を巡るミステリーですが、なかなか面白く読めました。
最後が大団円になるのが少し不満ですが、今年の作者は読ませる作品が多く、充実ぶりが伺えます。
邪馬台国はどこですか? (創元推理文庫)
「悟りを開いたのはいつですか?」
「邪馬台国はどこですか?」
「聖徳太子はだれですか?」
「謀叛の動機はなんですか?」
「維新が起きたのはなぜですか?」
「奇蹟はどのようになされたのですか?」
の六篇で構成された珠玉の歴史ミステリ。
バーでの法螺話というパターンだが、
目から鱗が落ちる素晴しい斬新な歴史認識に満ち溢れています。
こんな凄い新人がデビューしていた事に気付いていなかった
自分のアンテナの狭さに忸怩たる思いです。
全て重厚な長編で読みたかったな。
「奇蹟はどのようになされたのですか?」なんて、
ダヴィンチコードなんてぶっ飛ぶ、
超絶の感動大作になったに違いない。
鯨統一郎が提示した新説奇説の
知的レベルは物凄く高いです。
聖徳太子の朝鮮ネタに荒山徹 のあの説と、
信長の桶狭間ネタに宮城谷昌光 のあの説も組み込んでいたら、
100点満点になっただろうに惜しい。
10年間で30刷も版を重ねていたこれを読んでなかったとは、
自分が恥ずかしいです。
歴史で悪役とされたものがひっくり返るパターンが好きな人には
特にお勧め。