童話迷宮 上(Bunch Comics Extra)
メニュー表
赤いろうそくと人魚
月夜と眼鏡
ある夜の星たちの話
野ばら
金の輪
殿さまの茶碗むし
しいの実
遠くで鳴る雷
放課後のランドセル
原案:小川未明とありますが、自分はこの作者についての見識はほとんど
ありませんでした。ただ、表紙に一目ぼれをしたために、一服していこう
と思いました。
飲んでみての感想ですが、自然と物語に引き込まれていく絵の魅力を感じ
ました。収められている童話は、寓話ではありません。そのため、話に何
らかの「意味」を求めたいと思う方には、ある意味で不向きなものかもし
れません。ただ、ひと時を物語に委ねていたいと思はせる何かを持ってい
る作品だと思います。
また、少し調べてみたところ、収められている童話は、小川未明氏の創作し
た童話とはだいぶ味付けが異なるようです。小川未明氏の童話そのものを
求めている方はお気をつけて下さい。
ちなみに、自分は『ある夜の星たちの話』に一番心を奪われ、少し涙を流し
ました。個人的には、この話に出会えただけでも寄っていって良かったかな
と思っています。
朗読 日本童話名作選「でんでんむしのかなしみ」
自宅介護している病気の父親のために購入しました。
たくさんの話が入っていることと話し手さんの話し方が非常に聞きやすいので良いと思いました。
父親は、それなりの年齢のため、知らない話が多いかもしれませんが、基本的に童話ですので誰でも楽しめる内容だと思いました。
赤い蝋燭と人魚 (若い人の絵本)
人魚は、南の方の海にばかり棲んでいるのではありません。
北の海にも棲んでいたのであります。>> から始まる小川未明の童話。
淡々と進んでいくなかに、北の海の寂しさと人魚の哀しみが惻々と心に響いて
くる話。さり気なく幕を引くラストは、どこか怖いようなところもありました。
海鳴りが聞こえてくる北の国の海辺の町。
月明かりに照らされたしずかな寂しい町。
その中で、心にぽっと火を灯すような蝋燭の光のゆらめき。
一心に蝋燭に絵を描く、異界の娘のどこまでも寂しい気持ち。
小川未明の童話のそうした話の風景を、そして水妖である人魚の哀しい
気持ちを、酒井駒子さんはそっと、やさしく掌にすくいとって
絵に表している、そんな気がしました。>幻想的で、怖いような寂しさを持った小川未明の童話を、
人魚の母親の視点から描いていった酒井駒子さんの絵。
心に染みとおる美しさと、味わいの深さがありました。
小川未明童話集 (新潮文庫)
電車での一人旅の道すがら、気が向いたときにのんびりと本を読みたいという理由から、本屋で何の気なしに手にとった本がこの文庫であった。パラパラとページをめくったときに「汽車」「レール」などの文字が多く目つき、短編の童話集であるからぶつ切りで読むにはちょうどいいだろうと、特に深く考えることも無く買い求め、ジーンズの後ろのポケットに入れた。
私には、その旅行の印象が一つも残っていない。言うまでもない。この童話集に夢中になってしまい、旅行などどうでもよくなってしまったからだ。誤解を恐れずに言うなら、この童話集は現実よりもリアルだ。
それぞれの作品の中では、動物が言葉を操ることもある。さらには、風やレールといった生命を持たないものまでが会話をする。そのことだけを見れば、荒唐無稽で現実感のない話に映るかもしれない。しかし、にも関わらずリアルな物語として成り立つのは、著者の眼差しの深さによる。
著者は、全作三人称で物語を描き、その中に自身の感想は極力入れないようにして、淡々と時系列で物語を進めていく。ただただ、そこに在るものをそのまま言葉にしているといった趣である。私は、描かれた物語の脇に、その物語をじっと見続けている著者の眼差しを感じる。人を愛し、自然を愛した人の、穏やかな眼差しがそこに在る。著者の実感がすーっと私の心に流れ込んできて、とても暖かいもので満たされていく。
この童話は、今、この場所から少し離れて気分転換をしたいが、そんな時間はないという大人にこそ読んでもらいたい作品である。
小川未明集 幽霊船―文豪怪談傑作選 (ちくま文庫)
このシリーズはほとんど読んでいるが、子供のころの恐怖を書かせたらこの人の右にでるものはないのではないだろうか?
かくれんぼで遅くまで遊んで井戸の底から見あげる夕の星、嵐の中、両親を待つひとりぽっちの子供の焦燥感。誰もいない廃屋、帰りたいのに帰れない恐怖。
ホラーマニアにとって、極上の時間を過ごせる珠玉の短編。