Red Moon
概要を知らずに投げ込まれた一球が、易々とド真ん中のストライク。
これほどのエキゾチシズムを操る者は一体・・・・・調べて納得。
異国情緒のマエストロ、梶浦由記プロデュースの作品ではないか。
そのボーカルユニットの2ndアルバム。
核を成す梶浦イズム全開のサウンドは、石川智晶とのユニット、
SeeSawで慣れ親しんだ者ならまず間違いなくツボどころではなく、
ドツボ。
あの浮遊するマイナー調美メロに、ハードなギターとダンサブルな
バッキングが絡み、キラーチューンは完成されていた。ここにKalafina
ではヴォーカル3人で超絶ハーモニーを加えたら、そらもう最強ですよ。
圧巻。
しかしこの実力たるや・・・なんなんでしょうね、結論、J-POP界は一体
何をしとるんだ??
このユニットを認知し、支持しているのは、一部アニメファンくらいなもん
じゃないか。こんなに美しくも強い歌を放ったらかしの世情。
愚痴はここまで。
まず#4「fantasia」、#11「progressive」をツカミとして聴いて
下さい。ほいで#1「Red Moon」に戻って、トリオ編成の有効性が顕著な、
重厚かつ荘厳なハーモニーを堪能しましょう。
アップテンポ曲と対を成すスロー曲は、ストリングスとピアノも美しく、
凛とした緊張感が痛々しいほど。チャント系のコーラスワークと鐘の音で、
多分に宗教色が濃い、と書けば判り易いだろうか。激ツボっす。
その他、ノスタルジックであったり、中近東であったり、バラエティに豊む。
梶浦サウンドの特長でもある変拍子も随所に聴ける。
声質の違う3人それぞれがソロを取り、曲中で集散離合を繰り返し、
もはや万華鏡のような華やかさ。
さて、もう迷う必要があるだろうか。
ジャンルに捕らわれない“強さ”を秘めた真の歌を聴くべし!
白夜行ー白い闇の中を歩くー [DVD]
東野圭吾さんの原作小説は未読、ドラマも映画も未鑑賞のまま・・・自分としてはこの映画が「白夜行」との初めての遭遇でした。ひとこと・・・参りました!身も心も捻り伏せられてしまったなら後には何が残るのか・・・? 静かに迫り、取り戻せない過去と罪の感覚が観ているこちらにまで浸透してきて、湧き上がる嗚咽を自分の中に押し込めて懸命に堪えているかのようで苦しい。ひとりひとりの役者たちの物語に懸ける俳優としての姿にも心を打たれました。
闇の子供たち プレミアム・エディション [DVD]
「闇の子供たち」は皆の中にいる。。。。。
江口演ずる新聞記者がいい例だ。
『実話ナックルズ』に書かれてあることは8割は笑い話だが、
2割は真実である、例えば。
現実と自らの闇を覗きこめば、必ず「闇の子供たち」がいる。
生真面目な宮崎演ずる女性が覗いた現実、
別に生真面目づらして「驚愕」することではない。
生活の中にも見て見ぬふりをしているだけで、実は見だしたら闇だらけ。
それが現実、何も驚愕に値しない。
一歩踏み込んだ江口の演技、生真面目ずらして実は何も見えていない視点を宮崎がうまく演じている。
一日一生 (朝日新書)
著者は「超」荒行を経た、その道では著名な高僧とのことですが、私はそんな知識もなく先入観なしで読みました。
インタビューを活字にまとめたこともあってか、「語り口調」でとても読み進めやすく、また、その口調が「高僧」を思わせない市井の目線で、無礼ながら「親しみ」を持ちながらぐいぐいと話しに引き込まれました。
言葉は平易。たとえ話も身近で豊富。「失敗してもいいんだなぁ。」とか、「無理せず身の丈で生きればいいんだなぁ。」とか、「同じことを毎日『くるくる回す』って、じつは尊いことなんだなぁ。」とか、本当に心の底からそう思わせてくれるんです。自然と肩の力が抜け、気持ちが楽に、そして、透明になっていくような感覚を覚えます。
タイトルに惹かれて購入したのですが、読み終えてタイトルの「深さ」に気付きました。「一日一生」と、手帳の中表紙に書きました。読み終えた今の気持ちを忘れないように。