概要
2006年にテレビの連ドラとしてオンエアされ、平均15.7%の高視聴率を記録した人気作品の映画化だ。詐欺にあって一家心中で家族を失った黒崎(山下智久)が、復讐のために詐欺師(シロサギ)を騙すクロサギとなり、次々とシロサギたちを喰い尽くしていくというのがテレビシリーズの内容で、今回もその基本は踏まえた上での作り。ただ今回はなかなか騙されないシロサギの物語となっており、映画らしくスケールも大きい。 加えてその黒崎と対決するシロサギに扮したのが竹中直人。これまでもテレビシリーズでは、シロサギたちのフィクサーであり、黒崎の仇でもありながら黒崎に情報を振る桂木役で山崎努が出ていたし、毎回黒崎が倒すシロサギには大物スターが扮してきた。今回は竹中直人が渋い演技で悪役を演じ、さらにそこに大地真央や笑福亭鶴瓶など個性的な役者たちを取り揃え、ドラマのレギュラーなどを加えることで映画全体を盛り立てていく。 惜しいのは画の構図などがテレビ的な雰囲気になっていること。あえて映画になったからといって雰囲気は変えない作戦だったのだろうが、もっとそこで華々しさを出しても良かったのではないか。堂々とした山下智久の演技は素晴らしかったし、せっかくシェイクスピア劇の『ジュリアス・シーザー』を物語に絡めたりと脚本も凝ったことをしているのだから。(横森文)
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