原点にすべてがあると言ってよいおすすめ度
★★★★★
私が水木しげるのまんがに出会ったのは、まだ小学校に入るかどうか、といった幼年の頃である。当時から私は、彼の怪奇・幻想の世界に遊ぶことを心から楽しんだ。貸本時代の作品にも、祖母や両親などに買ってもらった単行本でかなり多く接していた。当然、墓場鬼太郎も、である。
人生も半ばを過ぎて、体力的には明らかに下り坂、残された時間が気になるようになった。今の私がしていることは、どうやら昔の再確認であるらしく、小さい頃に親しんだあれやこれやを、財布が許す範囲で、少しずつ集めて懐かしがることが多くなったと思う。このシリーズ全6巻は水木しげるの貸本版鬼太郎がまとめて読めるとあって、そうした意味では大変好都合である。2日間で読了、やはり、懐かしかった。
作者は後年、ここで使われたアイディアの多くをリメイクしている。貸本版を過去にすべて読んでいたわけではないので、私にとって本来は「再会」ばかりではないのだが、実際にはほとんどのエピソードを知っていた。使い回しに耐えるほどよくできたエピソードが次々に現れて、知っていながら飽きることがない。とりわけ、味わいのある絵とどこかのんびりした雰囲気は、彼の独壇場である。
私は彼の短編をすべて読みたいと思っているのだが、どうもあちこちに不完全に散らばっていて、無駄なく入手するのが困難である。どこかがまとめて「全集」を出してくれないか。1970年代前半の作品まででよいのだけれど。
こっちの鬼太郎の方が好きおすすめ度
★★★★★
誰もが知ってる鬼太郎といえば悪い妖怪を退治してくれる皆のヒーローでした。
ですが、この墓場鬼太郎は違います!
恩を仇で返す極悪な鬼太郎に変わっています。
最悪なのに何故か憎めない、そんな一面を持った新鮮味のある鬼太郎が見れました。
ネズミ男も相変わらず、と言いたい所ですが非道っぷりが3割り増しぐらいになってます。
最近の漫画に飽きてきた人にお勧めな一冊。
ついに文庫化された復刻版−素晴らしい!おすすめ度
★★★★★
僕は昔から水木しげるさんの作品群の大ファンなのですが、貸本まんが時代の幻の名作『墓場鬼太郎』を初めて読んだときの不気味さと爽快さの同居した独特の感覚は、今でも忘れられません。
そこには『ゲゲゲの鬼太郎』に見られる人間贔屓のお人好しな鬼太郎はおらず、もっと妖怪らしい禍々しさを持ちながら、同時に人間臭い行動も取ったりする、実に魅力的な鬼太郎、目玉おやじ、ネズミ男がいます。
しかし、驚かされるのは後年の『ゲゲゲの鬼太郎』の基本的なコンセプトやストーリー仕立てが『墓場鬼太郎』において既に出来上がっていたことで、鬼太郎に対する水木さんの思い入れの深さを感じます。
復刻版が文庫化されたことで本書はより多くの人に読まれることになるのでしょうが、『ゲゲゲの鬼太郎』しか知らない今の子どもたちにも鬼太郎という存在の深みが伝えられるのでいいですね。
真説。おすすめ度
★★★★★
テレビアニメの可愛らしい鬼太郎とは違い実におどろおどろしくて最高です。絵のトーン自体が不気味ですので余計に怖いです。
昭和30年代の雰囲気に浸りたいなら
おすすめ度 ★★★★★
鬼太郎に、はまっている息子が買ってきた本である。
何気なく手に取ったが、面白い。
今のさわやかな鬼太郎ではない、リアルな鬼太郎がそこにはいた。
おどろおどろしさといい、話の展開といい、怪奇モノはこうでなくっちゃ。
貸本復刻版と銘打ってあるだけに、本自体の雰囲気もいい。
私が小学校に入るか入らないかという頃に、貸本屋は絶滅したと思うので、
貸本屋の記憶はないが、
ストーリーをはじめ、絵のタッチまで貸本の、というか
昭和30年代の香りがそこはかとなく漂ってくる。
昭和30年代を知りたい方には、「3丁目の夕日」よりも
こちらをお奨めする。
今の私には、ちょっと休憩するのには最適な本である。