サラリーマン金太郎 30 (ヤングジャンプ・コミックス)
元暴走族の頭だった天然児矢島金太郎が、サラリーマンになって起こす珍(?)ストーリー。その完結巻。映画やテレビドラマにもなるほどで、確かに読んでみるとおもしろいです。主人公は本宮マンガにいつも描かれている男の典型と云ってしまえばそれまでだが、その舞台設定がサラリーマンというのが受けている原因なのかもしれません。実際、サラリーマンに限らず、社会で働き収入を得ている人は、守るべきものがあって、裸になる勇気はなく、どこかで自分に嘘をついて生きていかざるを得ないのが現状だと思います。だからこそ、ありえないからこそ、人気があるのかもしれません。痛快であるストーリーに世のサラリーマン諸氏はストレス解消をしてるのかもしれません。まさか現実に「よっしゃ〜、俺も金太郎みたいにやったるで〜」なんて方はいないでしょうから。しかし、読後、一人の男として、組織に影響を与え、変えるくらいの人物でありたいと思ってしまう私ではあります。最後に、金太郎もすごいけど、妻の美鈴にもそれ以上の腹の据わりかた感じてしまいます。
サラリーマン金太郎 DVD-BOX(5枚組)[DVD]
テレビで見損ねてしまったので、DVDで見ました。割とバイオレンスなシーンも多いのですが、金太郎の熱血漢がとてもよかった。暴走族あがりのサラリーマン?と最初は思いましたが、永井大さんもなかなかよかったです。
新サラリーマン金太郎 7 (ヤングジャンプコミックス)
ネタバレあり。
やくざ相手に、
いきなり警察や白旗をあげて思考停止に陥るのではなく、
よく調べて、道理がこっちにあったら捨て身で敵陣へ殴り込む。
昔の金太郎ならば、まず暴れて道理は後から出て来たが、
社長業を重ねて変わったのかな?
悪くはないし、自然だ。
出版会社でなく出版業界全体の再建目途も立ったし、
警察もジャストタイミングだ、きれいな引き際と感じた。
子供時代の母親のことを、奇麗に今の親父に繋げている。
千代ちゃんの今が気になる(伏線か?)、
はやく次回作が読みたい。
俺の空 1 本宮ひろ志傑作選 (集英社文庫―コミック版)
俺の空には、この昭和版と、ビジネスジャンプなどで連載されていた平成版の二種類があるが、出来は、断然、こちらの方が良い。迷うことなく、こちらを本宮マンガの代表作の一つに挙げたい。
本宮氏は、平成版のコミック化にあたり、「私は確実に昔より今、いいモノを書けていると自負している」と語っていただけに、平成版には大いに期待していたのだが、結局、「なぜ、今、平成版を書かねばならなかったか」が見えてこないまま、打切りとなってしまった。本宮氏が昭和版に寄せたあとがきによると、昭和版における女性の描き方に不満があり、新しい視点から男と女のドラマを描いてみたいと思っていたようであり、それはそれでわかる気がするのだが、残念ながら、目論見どおりにはいかず、昭和版が、二度と超えるに超えられぬ名作であることを、自ら証明した形になってしまった感が否めない。
さて、物語の方だが、安田財閥の御曹司、安田一平が、17歳にして、安田家の作法により、1年間のお嫁探しの放浪の旅に出ることになる。1年後に一平が連れてきた花嫁が、親戚のうちの一人にでも認められなかったら、安田財閥の総指導者の資格を失うという旅なのだが、実は、この作品は、一平が1年間の旅を終え、花嫁のお披露目をしようとするところから、俄然、熱くなり、俺の空の本当のテーマが現れてくる。昭和版が名作の地位を確立するに至ったのも、ここからの展開があったればこそだと思う。
自分だけの力では、愛する人一人でさえも獲得することができないという自分の無力さと、愛すべき人よりもはるかに小さな自分の器を思い知らされ、屈折し、「自分の空」を見失ってしまった一平が、苦闘の末にたどり着いた結論は、一体、何だったのだろうか?ぜひ、自分の目で確認してみてほしい。