シンガー・ソングライターからの贈り物 荒井由実作品集「いちご白書」をもう一度/卒業写真
ユーミンが、荒井由実時代に、作詞・作曲とも手掛けたさまざまなアーティストへの提供曲から、ヒット曲や埋もれていた名曲をオリジナル音源(1972年~1977年)で収録し、さらに廃盤となった音源も6曲収録したものです。
名曲『グッド・ラック・アンド・グッドバイ』は最初、岡崎友紀のシングルで発売されていたのです。岡崎友紀の全盛期の頃で、実はこちらがオリジナルだったのですね。知りませんでした。ステキなアレンジで雰囲気がよく、おまけにユーミンの方には入ってない「セリフ」まであったりして、とても良かったです。ところで、若い世代の方、「岡崎友紀」ってご存知でした?
もっと驚いたことは、ユーミンのデビューアルバムタイトルにもなった『ひこうき雲』は、最初、あの雪村いづみに提供されたものでした。結局お蔵入りになって、前述のアルバム『ひこうき雲』に収録されました。「雪村いづみ」独特の崩した歌い方が、ユーミンのモノとは別の音楽に聞こえます。ユーミンが17歳の時の作品でした。
ハイ・ファイ・セットで大ヒットした『冷たい雨』は、最初、バンバンが歌った『「いちご白書」をもう一度』のB面だったのですね。
どれもが知らないエピソードのオンバレードです。
アグネス・チャンや、太田裕美、松島トモ子!にも楽曲を提供していたのをこのCDで知りました。どれもやはり「ユーミンサウンド」が溢れていました。
「ユーミン・サウンド」ファンにとっては、お宝CDといえましょう。
Strawberry Statement (1970) [DVD]
昨年劇場で公開されたリストア版を見てから、
ようやくこの映画のDVDが日本で発売されるのだろうかと楽しみにしていたが、
1年近くが過ぎて、その気配はなし。
Amazonで“いちご白書”って検索するとアダルトばかりが引っ掛かる。w
武蔵野館ではフィルムの上下をマスクして無理やりのワイドでの上映。
おかげでブルース・デイビソンのジャンプしたストップモーションの顔が、
スクリーンから半分くらい切れていた。
いいタイミングでバフィー・セント・メリーが歌うサークル・ゲームが流れるのだけど、
こういう映画館の心無いおせっかいで映画が台無しになってしまう。
リバイバル上映してくれるのはありがたいが、余計なことするなと思う。
この映画に限らず、サイズを販売側が勝手にトリミングしてしまうものが少なくない。
劇場公開版のディスクは上下をカットしたワイドサイズでの収録。
ラストのブルース・デイビソンのストップモーションはきわどく顔が切れてはいないけど、
映画館で上映されたものは明らかにスクリーンの上下の暗幕に相当な分量の映像があったことはたしか。
日本盤が出ないからここで見つけた輸入盤をクリック。
公開時のバージョンと、昨年公開された7分ほどの追加シーンがあるバージョンの2枚組。
サイズはオリジナルの4:3のスタンダード。
チャプターもなければ、英語字幕さえないのが少し残念だった。
フィルムは丁寧に修復されてます。
もちろん元が16mmフィルムでの撮影だから、過度な期待はする方が無理。
サウンドトラックもモノラルのままだが、
映画の中で主人公がラジオに耳を傾けるように、当時はこんな音で聞いていたのだと懐かしむ。
簡単にファイルをダウンロードしてしまう今よりも、音楽を大切に聞いていた時代だ。
随所に出て来る俯瞰でとらえた群衆のカットがドキュメンタリーのようで、
息苦しいスタジオを飛び出して手持ちの16mmカメラで自由に撮影された映像は今見ても鮮やか。
分厚い契約書に拘束されることなく、作家が思うままに自由に描いた映画。
日本版が発売されることを切に願ってしまう。
どこかで聴いたクラシック クラシック・ベスト101
クラシック入門にはおすすめ。タイトル通りどこかで聴いた事のある曲ばかりです。ですが、音質、フェイドイン、フェイドアウトなどを考えると最高とはいい難い。曲目もベートーヴェンやバッハ、ラフマニノフなどに偏っている感じがする。価格的には安いので、入門にはうってつけだと思います。良くも悪くも聞いて次第でしょう。
クライマックス 70’s サファイア
今回も2枚組で3150円。相変わらずお得感がいっぱいなクライマックスシリーズの最新盤です。新聞で発売を知り、速攻で入手しました。
「サファイア」と「ルビー」の2作が同時発売されていますが、どちらも70年代のオイシイとこ取りの選曲ですね。
最近は「HEY!HEY!HEY!」や「うたばん」とかで、いつも特集されている昭和歌謡ですが、そこで紹介される歌がほとんど入っているのではないでしょうか。
年末年始の特番でも各局やりそうですが、テレビでは少ししか流れないので、フルコーラスちゃんと聴けるCDが欲しくなるんですよね。
この「サファイア」は全体的にフォーク&ニューミュージックが中心の印象です。でも、キャンディーズもピンク・レディーも入っているし、南沙織や岩崎宏美も入ってます。郷ひろみだって、狩人だって、山口百恵だって。やっぱり70年代って素晴らしい! お正月は家族そろって歌合戦だ!
Deja Vu
CSNYのデビューアルバムにしてロックの傑作集の歴史上最も不思議な構成を持ったアルバムでもある。冷静に本作を聞き進んでいくと、明らかに個性の異なる音楽が共存していることに気付く。中でも、クロスビーとヤングの個性は印象的だ。
逆にアルバムにポップ性を与えているのがスティルスとナッシュの作品群なのだが、この比較的判りやすい旋律を持った歌曲と前者の個性的な音楽との組み合わせが不思議になじんでいるのは、こう言ったバランスでロックを作り始めたのが彼等がオリジネイタ−だったということから来るものなのか、それとも相当の計算されたプロデュースなのかは解らないが、CSNにYが一枚加わった影響と言うものを感じてしまう。要するにオリジネイターは好きに出来ると言う強味なのである。
60年代のフォーク・ロック時代、ブリティッシュ・インヴェイジョン時代から抜け出てきた四つの個性がぶつかった化学反応のようなアルバムなのである。この後しばらくの時期をおいてCSNは再びアルバム製作を始めるのだが、その頃にはもうここでの緊張感はなくしている。(プロフェッショナルに成り切っているからだ)
グループ内に複数の作曲家が存在するとアルバムはどうしても勢力争いになる、その事はこのアルバムでも同様なのだが、全体の路線から浮いた曲が存在しない事の不思議さ。
飽きが来ない傑作である。