罪と罰
椎名林檎のカップリング曲は、彼女の好む世界であろうjazzyな曲や、小洒落た曲が多く、1曲目のインパクトに比べると(林檎ファン意外は)あれれ?って感じになる。
これは2曲目にスタンダードナンバーの思い切りロックなライブ音源(このカバー好きですね、高校時代バンドでやりました)、
3曲目にポップバラードといえる一曲。彼女が高校時代にかいた曲だそうで、いい意味での若さが出てますね。こういうひねくれない曲が最後に入ってるのは珍しいかも。
1枚とおして飽きずに聴けます。
というわけで、ポップファンにも楽しめる1枚。林檎ファンにもおいしい1枚。
間違えて★3つにしてしまいましたが、5つです…。
源氏物語九つの変奏 (新潮文庫)
9作品のうち、町田康と江國香織の作品が、素晴らしかったです(☆5つ)。
ストーリーは源氏物語に忠実でありながら、
独自の文体・視点によって、
登場人物が、より生き生きとしたものになっており、とても面白かったです。
この2作品を読めただけでも、買ってよかったと思いました。
桐野夏生、小池昌代の作品は、
登場人物の一人が後日、あの出来事を回想する、という形になっており、
現代語訳を読んだだけでは思い至らなかった部分に、思いを巡らせることができました。(☆4つ)
(たとえば私は、現代語訳を読んだ時点では、女三宮のことがあんまり好きではなかったのだけれど、
今回、桐野夏生の物語を読むことで、女三宮に同情的になりました。)
残り5作品のうち
3作品は、通常の現代語訳のように思われ、どこが斬新な解釈なのかよくわからなかったです。
登場人物の相関関係などを知らない場合には、読み終えるのがキツイかもしれません…。(☆2つ)
ほかの2作品は、源氏物語から、ストーリーも設定も全て変えられています。
源氏物語を離れた短編小説を読むつもりであれば、面白かったのかもしれませんが、
あくまでも源氏物語のアンソロジーを読みたかった私には、不満が残りました。(☆1つ)
というわけで、9作品を平均して、☆3つです。
蛇にピアス [DVD]
ソラニンで高良健吾の演技がよかったので,見てみたら。。。
意外とよかったです!!!
ARATA氏も。
何より吉高ゆりこが体張ってた点は評価に値すると思う。
たぶん受け付けない人は本当に受け付けないんだと思う。
見るときの体調とか,眠さ加減とかが影響すると思うので,
眠気がない状態で観れた自分は運がよかったのかなと思っています。
マザーズ
普段は現代作家の本は読まず古典ばかり読んでいるのですが、新聞の書評にあまりにも多く取り上げられ子育て中なので今読むべきでは?と思い読みました。
まだ夢みている出産前の方が読むと怖くなるかもしれませんが 赤ちゃんのいる生活の現実はこうです。
一番小さい子供を育てている涼子の精神状態は どの育児書より忠実に書かれていると思います。
細切れ睡眠でボロボロの精神肉体で、泣き止まない子供を1人きりの家で何とかしなければ・・というのは実際に体験したことのない男性には完全には理解は出来ないと思いますが 第一子を奥様が出産される前の男性には是非読んで欲しいです。
不倫・虐待・ドラックに逃げる・・という設定は小説なので仕方ないと思いますが、1人で追い詰められ逃げ場もなく何とか乗り切っている方は多いと思います。
この作者のどぎつい性描写、グロテスクな表現はちょっと閉口しますが・・
まさに現在の核家族でのたった一人で行う育児の現状が書かれていると思います。
カフカ 田舎医者 [DVD]
凄いアニメーションです。私はアニメには詳しくありませんが、アニメーションの歴史の中でも最高峰の一本ではないでしょうか。
これももの凄い描線の多さ。しかも、複雑です。すべて手描きなので、変幻自在に細かく位置を変え、画面が微妙に震え、変形します。手持ちカメラでの撮影で、ピントも移動し、2次元的な移動と3次元的な移動が同時に起こる面白さ。「頭山」からさらに進化してまったく見たことがないような映像になっていました。
一コマずつ細かく動く映像は強烈にフィルムを感じさせ、ゆがんだり膨らんだりする人物や建物はドイツ表現主義を連想させます。原作はカフカなので起承転結のある話ではなく、ブラックユーモアといっても笑えないのですが、とにかく絵の素晴らしさに感嘆しているうちに終わってしまったという印象。
山村アニメーションの特徴は手書きの描線の多さと輪郭の揺らぎですが、それがカフカの原作と出会って最大限に生かされていると思います。
山村浩二は「商売は全く考えていない」と言い切っている人で、この作品も商業ベースでは制作は不可能な芸術でしょう。山村浩二にとって「頭山」を超えて代表作となるだけでなく、日本のアニメーションの代表作ともなる大傑作だと思いました。
正直、話はよく分からない部分もありましたが、ストーリーなど全く分からなくても面白いし興奮しますし、感動出来ると思います。こんなアニメーションの表現があったんですね。電子楽器オンド・マルトノによる音楽も素晴らしいです。