きいろいゾウ (小学館文庫)
西加奈子さんの作品は初めてだったので
はじめは馴染めなくて読み進めるのに苦労した。
1回目はあらすじを追うだけで終わり、2回目以降に
彼女の文章と世界観に引き込まれていった感じかな。
暖かい愛の物語って思う人もいるだろうけど、
私はムコさんの昔の恋人の話に共感した。
若いときってこういうことあるよね、と胸の奥がチクチクする感じ。
よみがえる恥ずかしさや罪悪感。
若いときは、好き嫌いとか良い悪いとか、いろろなものの判断基準が
はっきりしすぎていて、どちらに傾いても振れ幅が大きかったな。
だから、今ではできないような思い切ったこともやっちゃってた・・・。
そして大いに傷ついて周りもずいぶん傷つけた。
年齢を重ねると、いろんなものの境界線があいまいになって
どっちに傾いても、もはやどっちでもない感じになっちゃうことも多いから。
なんだか懐かしい痛みを思い出させてくれる作品だ。
with a will
アルバム4作目。「心をこめて」という意味で「with a will」
確かに心がこもってます。「色褪せない瞬間」「目を覚ませ、男なら」「空をあきらめない」シングルも収録されていますが、アルバム収録曲が非常に充実していて面白いです。
「そろそろやってみますか」「気づいて!」「スーパーガールズ ファンキー No.1」詞も曲もいいです。隠れた名曲といえます。
歌唱力は、この頃はまだ大目にみられました。上手くはありませんが、聴けないことはありません。この頃の曲調の方が、今のヘヴィな路線よりも彼女によほど合っていると思うのですが…。
注目は歌詞カードの出来栄えです。カメラ技術が良く、見ていて楽しいです。ちょっとした写真集のようです。
b-side you~B-SIDE COLLECTION~
歌手活動5年目にしてシングルCD13枚
途中からファンになった人がアルバムを集めても
カップリング曲はアルバムに収録されていないものばかり
しかし、今から手に入れるには難しいシングルもある
ということで作ったのがこのCD
「切ない笑顔」から「赤い華」の13枚に
カップリングとして収録された曲ばかりを集めた1枚
時期によって、声があまりに変わっているので
曲とは別に楽しめます
P.S. 評価の点が高くないのは、私がすべてシングルを持っていたからです
さくら
作者の作品は「通天閣」で好感を持ったので、後追いで読んだ。
私自身、兄弟構成がこの小説に出てくる家族と一緒なのだが、
全く共感できる部分が無く、どの登場人物も好きになれなかった。
アーヴィングと表面的には似てるように見えるけど、印象はむしろ真逆。
文通相手と会うシーンなんて、美しくなければ恋愛してはならない、生きてる価値も無い、
とばっさり切り捨てられてるような気分になって不快だった。
でも最終章は疾走感があって、そこまで読み進めた価値があったと思ったので星3つ。
(それにしても文庫版の裏に書いてあるあらすじ、ネタバレが酷すぎるよ〜)
しずく (光文社文庫)
「ランドセル」には幼馴染、「灰皿」には老婦人と若い小説家、「木蓮」には三十女と恋人の娘、「影」には旅行者と嘘つき女、「しずく」には2匹のメス猫、「シャワーキャップ」には母と娘という、それぞれの「女同士」が描かれた6つのおはなしが収められています。
好きなのは「灰皿」、「木蓮」、「シャワーキャップ」です。
「灰皿」は、上品な老婦人と、「私がうんこを食べるまで」という作品で賞をとった27歳の小説家の奇妙なやり取りがおもしろかったです。
「木蓮」は、女の本音が見え隠れ、ラストでスッキリ、笑いが込み上げてきました。
「シャワーキャップ」は、屈託のないお母さんのキャラが、何ともかわいくていいなぁ〜って思いました。
おはなしの中で、色んなタイプの女性が登場しましたが、自分に一番近いのは、「木蓮」のぶちきれたあとの三十女といったところでしょうか。