松本清張サスペンス 熱い空気 [DVD]
後の『家政婦は見た!』の前身ともなる作品。いや〜、それにしても皆さん若い若い。このシリーズ、最後は例によって例のごとく因果応報的なオチがあるわけだが、これは恐いな〜。まさか悦子さん、子供にしてやられるとは…。良い子、いや良い大人のみなさん、決して真似しないように。
女優・市原悦子の当り役となり、また25年続いた人気シリーズにもなった。この作品を観ると、自分も主人公と一緒に知らず知らずのうちに他人の家庭の秘密を覗いている、不思議な作品である。土曜ワイド劇場の貴重なDVD化作品。2時間サスペンスファンは、是非。
黒い画集 (新潮文庫)
松本清張の短編集。男と女の関係、特に不倫関係からの殺人を多く扱った短編集です。どの作品も一級のミステリ及び文学作品に仕上がってます。短編集なので気負わずに、1日1篇ずつ読んでいくのも、作品を味わう意味では良いのでは。初版が昭和46年であり、風俗描写は古い感じは否めないが、物語上ではあまり関係なく読み進めることができる。どの時代でも新たな読者を獲得できるということは、作者の力量そのものなのであろう。
松本清張サスペンス 土曜ワイド劇場 傑作選[大映テレビ編] [DVD]
なつかしかったです。この時代のサスペンスは人間模様が映し出されてよかったなあ。最近のはまず殺人、素人探偵が事件を探る、第二の殺人、犯人が崖の上で告白ってパターン。もう飽きた。夏には怪奇物もあったし、未解決事件もあった。天知茂の美女シリーズも持ってます。夏純子、松尾嘉代、片平なぎさ(初期は被害者役)主演が最高です。いつDVDになるんだろうと思ってました。これをきっかけに、どんどんDVD化してほしいです!
事故―別冊黒い画集〈1〉 (文春文庫)
本書に収められた「事故」の、他の松本作品にも共通する特徴は2つあるように思う。
ひとつは「事件篇」と「解決篇」の大きく二部にわかれていること。
もうひとつは、完全犯罪と思われ、捜査が行き詰まりをみせたかに思われる事件が、予期していかなかったほんのわずかな糸口から綻んでくること。そうして糸口をとらえられたが最後、捜査員が一気に真犯人のもとに殺到し、その予感とともに作品があさやかに幕を下ろすのである。
この手法は「鬼畜」など、他のいくつかの優れた短篇の松本作品にもみられるように思う。
「事故」はこれら構成上の工夫のほかにも細々とした細工がなされ、そのひとつひとつになるほどと頷かされるところにも読み進めていく醍醐味がある。「事件」は著者の工夫や意匠に知の部分で共鳴する。対して「熱い空気」は女性の嫉妬を軸に共感をあおるトーンになっている。
たしかにテレビ向けは「熱い空気」のほうだろう。だが僕は本書なら「事故」のほうを推す。また、酒井順子の解説はいわずもがなの典型で、せっかくの余韻が覚めるので読まない方がいい、と付け加えておきたい。