レコード・コレクターズ 2012年 03月号 [雑誌]
今号は、さすがの内容です。
サム・クックは、例の紙ジャケの頃だけにかたよらず、全体像を見事に描き上げ、さらには、マニアでないと、と思うようなスペシャルティ・レーベルの頃の特集まである。すごい。
そして、なんと、スマイルボックスの再特集である。これが、また良い。お高い日本盤ボックスを買って、そのあまりの解説等のひどさに泣いた私には本当にありがたい特集でした。
トッドの特集もこれくらいの騒ぎようでいいんじゃないでしょうか。
さて、次号はウォールの特集。狂気ボックスがひどかっただけに、輸入盤で済ませようと思っている人も多いのでは。私も輸入盤なら買おうかなとも思っています。さて、レココレがどんなふうに切り込んでいくのか楽しみです。
Sam Cooke at the Copa
はっきり言って、白人の前でこれほど質の高いライブをした黒人歌手は、いたんだろうか、と言うのが率直な感想。
ビートルズを初め、白人のミュージシャンからも一目置かれていたSam Cooke。
彼ほど、すべての黒人音楽を愛し、黒人としての誇りを持ち続けた歌手は、あの時代にいたのだろうか。
このCDは、そんな彼の極上のエンターテインメントの貴重な記録であり、素晴らしい、音楽CDである。
彼が、時折見せる高らかな笑い声、これが、どれほどおおくの黒人を勇気づけただろう。
このCDは、彼の息遣いまでこちらに届けてくれる。おまけに、アナログ盤にはなかったバンドメンバーの紹介まである。
黒人コミュニティの中でのネッキョウテキライブに感度すすることはとても素晴らしいことだけど、もう一つの、人を喜ばせるという彼の人柄を感じにやにやするのもいいと思う。
べっしー・スミスの曲も。シナトラの曲も、ディランの曲も、すべて自分の曲にする彼の懐の深さを感じてください。
Eight Classic Albums Plus
まず最初に!某通販サイトで売られているRCAの8枚組(紙ジャケ)とは、同じ8枚のLPを収録した本盤とは内容が違いますよぉ〜(泣)
早とちりさん!ご注意をっ!俺もその一人でした(苦笑)
本盤はSamさんが世俗音楽へ転身以降(You Send Me以降)8枚のLP+αが収録されています。必然的にKeen時代のLPが5枚+RCA時代3枚+シングルのみの収録と成って
ます。Digitally Remasterと唄っていますが、完全な盤落としCDです。まぁ 音は悪くは無いですが、あちこちで「プチプチ」言ってます。
流石に針飛び迄は無いです。Keen時代のオリジナルリイシューは数枚しか無かったので、この音質・曲数・価格では「見つけたら買え!」ですなぁ〜
発売元も聞いた事の無い会社だしCD番号もRGRNBCD001って!この盤の為に立ちあげた会社じゃん!?ハーフオフィシャルかも?
Disc#1 1~13は”Songs By Sam Cooke”よりYou Send Meのヒットに肖り他はスタンダード曲を軽めのアレンジで唄っている。
#1/4/7/10辺りは歌にも熱が入るが他はスムーズなクルーナースタイルに終始。未だゴスペルとの境界で迷っていた時期で 曲に後年の様な"Sam Cooke"スタイルは未だ現れて
いない。だが、こうして改めて聞いてみるとSamさんの歌唱は「タメ」が絶妙ですなぁ。この辺りは既に「おお 只物じゃねぇ」です。リズムが揺れるんですよ。
(解って欲しい表現っす)
#14~16はスペシャリティで出ていたSamさん初の世俗シングルで、ゴスペル界との決別に思い切れず「ディル クック」の変名が使われていた。
#17~28はJazzのビックバンドに乗ったSamさんが聴けるが・・・ 正直 あまり楽しめない。本人も楽しめて無い様に聞こえる。
Disc#2 1~12は前年に亡ったBilly Holidayさんへの追悼盤だが・・・・(苦笑)こちらもビックバンドスタイルがSamさんに合ってるとは言い難く。
けど#5の"Ain't Nobody Bussiness"は歌唄いの非愛が感じられ良いよ。#13~24はキーン時代のBest的内容でゴスペル臭は感じられ無いが、#13/15/19/24等
のHit曲には単純に心トキめく。#21はRCA時代に先駆けての録音だが、端ばしにその後を予見させる歌声を聴かせてくれる。
Disc#3 1~4は58年頃にキーンのゴスペルレーベル/アンデックスへの吹き込みと思われる。女性コーラスも加えたクラシカルな雰囲気でゴスペルスタイルとの差別化を計ろうとの
努力が見受けられる。5~16よりRCA時代と成るが、コンセプトは「歌で世界を旅する」う〜ん Samさん以外でやってくれってな内容です。
やはり#15は”Japanese Farewell Song”とあるが中国音階!(爆)歌詞は「さよなら〜」なんだが・・・・
#17~20はシングルのみの発売だがSamさんらしさが出て来た。「黒さをポップスの中でどう昇華するか?」の戦いが此処から始まった。
Disc# 1~12は50年代の曲をSamさんが唄う!だが・・・ レコード会社のお仕着せに抵抗出来なかった時期で辛いぞ。
けど、後年Rod Stewartさんもカバーした#4や後年Ronnie Laneさんがカバーした#14を見詰めた眼差しの先には Samさんがすくっと立っていた事を再確認した。
13~24はアルバム " Swing Low Little Chariot"よりこのアルバムより制作の主導権をSamさん側が勝ちえた盤。表題曲の軽さも心地よいし、#18の地から強さも
頼もしい!後年の爆発はもうそこ迄来てる!と期待を持たせる終わり方ですなぁ(苦笑)
あ!#14は「大きなのっぽの古時計」でした(笑)
既に入手困難に成って来ました!買えるうちに是非!
Mr.Soulサム・クック
ソウル・スターラーズとういうTOPクラスのゴスペル・カルテットの二代目リードを務めてゴスペル界で頂点を登りつめた後に、R&B・ポップ・スターに転身してこれも大成功を収め、黒人ビジネスマンとしては画期的にインディペンデント・レーベル、SARを起こして、ボビー・ウォマック、ジョニー・テイラー、ビリー・プレストン、シムズ・ツインズ等々の後進を育成し、最後は奇怪な死に終わるという、人を引き付けずにはおかない生涯。著者は、公民権運動などの時代背景をうまくからめながらサムの人生を綴っています。これはアメリカ黒人音楽、ルーツ・ミュージックを探求する全ての人に勧めたい必読書です。