眠狂四郎 無頼剣 [DVD]
狂四郎と天知茂演じる愛染との対決はシリーズ屈指の名勝負だが、脚本を大御所の伊藤大輔が担当したため、狂四郎のキャラクターが品行方正になっており興ざめすること甚だしい。(なんと冒頭で土下座して謝ったりする!)
大塩平八郎の乱を題材にした筋立ては面白いのだが・・・。
日本個性派俳優列伝〈3〉遠藤太津朗 (日本個性派俳優列伝 3)
個性派俳優“遠藤太津朗”
この名を知らなくともこの人の顔を一度見れば忘れられない人は大勢いるだろう。
私も遠藤氏を初めて見たのは長渕剛主演のドラマ『家族ゲーム2』(1984)で家庭教師吉本(長渕剛)の教え子である問題児・殿村和人(松田洋治)の父親で信楽焼の狸をこよなく愛する土地成金まる出しの殿村作造役の怪演ぶりが衝撃的でした。
遠藤太津朗氏は大川橋蔵主演の人気時代劇『銭形平次』(1967.5.3〜1984.4.4)で平次のライバル岡っ引き・三輪の万七役が大変有名であるが、やはり人相からか世間では時代劇での悪代官や悪徳商人のイメージが強く、そのイメージを確立した立役者ともいえる。
本書では、役者以外での家庭的な挿話が多く含まれており(奥様とのインタビューが微笑ましい)、また京本政樹氏のインタビューで『里見八犬伝』(1983:深作欣二監督、薬師丸ひろ子主演)での八犬士の一人・犬塚信乃役に京本氏が選ばれた背景に遠藤氏が深作監督に推薦した挿話(遠藤氏も京本氏に斬られる伯父役で出演)や『必殺』シリーズで組紐屋の竜を演じ、初めて仕事人で首を吊ったのが遠藤氏であった挿話など興味深い内容だった。
とにもかくにも“遠藤太津朗”といえばあの鬼瓦のような(失礼!)顔のインパクトが大きく、
映画『まむしの兄弟 刑務所暮し四年半』(1973:山下耕作監督)の冒頭のシーンで出所するゴロ政(菅原文太)と看守役である遠藤氏とのやりとりで
ゴロ政:「前の前やったっけ、6人目の子どもが産まれた言うとったが、あれからどないしてん?」
看守:「あれから4人産まれた」
ゴロ政:「そらあ、またえらいようきばっとうやんけ! で、子は男け女け?」
看守:「それがみんな男だ」
ゴロ政:「そらあオッサンよかった、よかった、よかったのう。女やったら一生泣くで」
看守:「そらあ、どういう意味や!」
この遠藤氏の人相の特徴いかされたシーンに大いに爆笑しました。