キングダム・オブ・ヘブン 特別編(初回限定生産) [DVD]
それにしてもリドリー・スコット監督の画というのは、何故こうも独創的で美しいのだろう。一目見てわかる映像。これほどの力量のある監督はそうはいません(もっともこの人の絵コンテはまさに画家級の腕前と聞きます)。
この映画もスコット監督の画でみせる素晴らしい歴史スペクタクル映画です。
ただ物語がやや駆け足(主人公オーランド・ブルームの動機付けが描きこみ不足で簡単に行動しすぎる気が)なのと、やはり歴史的背景に弱い日本人には最初何故戦っているのかが理解できないものだろうと思います。しかし聖地エルサレムをめぐる争いは現代にも続いているものなので、この映画で興味を持ったら、少し歴史を勉強するのもいいと思います。
この手の映画につきものの戦闘シーンは、当然迫力満点。大軍勢シーンはともかく、砦を包囲し攻め込む木製包囲塔の攻略はもう鳥肌物。さすがの、リドリー・スコット映像です。
オーランド・ブルームが目立つスター映画の印象を受けますが、テーマ性、映像共に一級の史実スペクタクル映画だと思います。
キングダム・オブ・ヘブン 公式完全ガイド
映画には賛否両論あると思いますが、
映画版では全く語られていないストーリーや各登場人物の背景も解説されています。
脚本を作るにあたっての過程やストーリーボードの一例、キャスティングの経緯、
そして衣装・武器・美術セットのデザインや当時の戦法・武器に関する解説の他にも、
十字軍の大まかな歴史や参考文献も紹介されています。
その他にも、十字軍や騎士物語を題材とした他の映画タイトルが参考に幾つか紹介されています。
映画に出てくるシーンや撮影風景の写真、衣装やセットのデザイン画、
そして十字軍に関する絵画も多く掲載されています。
映画製作の裏側を詳しく知ることもできますし、
歴史ものの映画が好きな方には良いのではないでしょうか。
読み応え十分の良書です。
(個人的には、気になっていたボードワン4世役の
エドワード・ノートン氏の紹介がないのは少々残念ですが…)
「キングダム・オブ・ヘブン」オリジナル・サウンドトラック
約6割くらいは讃美歌風のキリスト教の雰囲気を表す音楽で占められており、後2割程度がアラブ、中東を表す音楽、そして残りは戦闘などを描写しているような印象の構成になっている。 分厚いオーケストラによる重厚感は余り無く、讃美歌の歌唱が特徴的で歴史スペクタクルものの音楽としてはやや軽い印象です。主題歌の女性歌手の声が可愛らしく、耳に優しい。全体に高品質な音楽だと思います。
キングダム・オブ・ヘブン(ディレクターズ・カット) [Blu-ray]
(多少ネタバレ含みますのでご注意)
両軍の言い分も理解できましたし、両方の王の考え方も筋も通っていて納得でした。全体の映像も綺麗だったし戦闘の迫力もありました。メインの恋愛パートも子供のパートもほとんど無駄が無かったように感じました。正統派で素晴らしい映画でした。
ただ一つ、
最初っからバリアンが完璧すぎて違和感ありすぎました。ゴッドフリーは最初っから威厳と風格が感じられましたが、その息子バリアンが何の理由付けもないままに、最初からアノ風格と落ち着き具合は変でしたw
そもそも、成り行きで十字軍に入って力を発揮、エルサレムに着いたら親の七光りでいきなり偉い人に。そして人の上に立ってみたら人格者で皆の人気者で、王女には惚れられるは、不倫はするは、10/1の兵力差で無謀な戦いをしても運良くドローになるわ、、そして王から一目置かれて自分の妹と結婚して次期王になれと大抜擢!! でも無礼に断って、、素晴らしい戦略と統率力をもってして最終決戦へ突入!
って・・
書いてても笑えるくらい都合が良すぎる。主人公を「バリアン」から「ゴッドフリー」に置き換えたら、面白いことに違和感がなくなりますけどね。最初からゴッドフリーの伝記として描けば脚本もスムーズで素直に感情移入できたと思います。なぜ取って付けたように外に作った息子に切り替えたのか全く理解が出来ませんでした。
文句は多いものの、近年稀な正統派大作だと思います。余談ですが、エドワードノートンの使い方が贅沢すぎですね。種明かしされてもピンときませんでしたw 未見の方ぜひ一度お試し下さい!