1/32 ST30 中島 キ44 二式単座戦闘機 鍾馗 2型丙
ハセガワの比較的新しいキットです。
ハセガワらしい簡素な構成で無難に仕上がっています。
パーツ数が少ないので、1/48とそれほど手間や時間は変わらず
精度も高いので、ヨンパチよりこちらの方が簡単に組めるかもしれません。
このスケールにしては、コックピット内がちょっと寂しい感があります。
クリアパーツは少々肉厚ですが、
透明度は抜群で、モールドも非常にシャープ。
パネルライン等は実機の図面と見比べても大きな矛盾がありません。
機体表面のディティールは控えめですが
パネルライン周辺のみ凹リベットが打たれています。
パーツ精度や合いは非常に高く安心です。
ハセガワらしいと言うか、成型パーツがえらい分厚いです。
脚カバー類等の薄さが要求される箇所も、
そのままだと戦車の装甲並みの分厚さがあります。
しかし、そのお陰か
素でも十分なパーツ強度が確保されているので
内部補強せずにリベット打つことが出来ました。
いろいろ手を加える余地が残されているのも
このキットの良い点かなと思いました。
陸軍2式単座戦闘機「鍾馗」 世界の傑作機 16
恐らく、第二次大戦で使用された国産戦闘機の中では不人気度抜群!
そんな鍾馗ですが、世傑の方はいい出来です。
不人気機の割にはクリアーな写真も多く、どちらかと言うと日本機離れした独特のスタイルがよく判ります。
また「整備の神様」刈谷大尉の手記は、鍾馗の話に留まらず「日本軍の組織的な整備力の低さ」が鋭く指摘されており、なかなか考えさせられます。「日本の飛行機はエンジンがすぐ壊れる!工業力が低いからだ!」と結論付けちゃう前に一度読んで欲しいですね。
でもこの頭でっかち尻つぼみ、小さな変な形の主翼の鍾馗は見れば見るほど「いい味」出してます。空力的にこれでもかと洗練された他の日本機のデリケートなラインとは全く違う、「スピード出すんだ!高翼面加重がなんだ!」って熱い思いが大胆かつ豪快な基本ラインを描きながらも、細部には日本的かつオリジナリティ溢れる処理も隠され、実に個性的で魅力的。後に疾風の基礎となるような細部設計もアチコチに見られ、見所も沢山ですよ!
日本よりも外国からの評価が高く、もし日本軍に「一撃離脱戦法」を理解し実践出来る指導者がもっといたら鍾馗は世界的名機になってたかもしれませんねえ。 え?贔屓の引き倒し? いいんですよ、スキなんですからw
1/72中島 二式単座戦闘機 鍾馗
キットとしては、ハセガワの1/72でも古い部類に入ります。
そのため、コックピットの再現度は極めてあっさりしていますので、気になる方は資料を元に補機類を作り込むとよいでしょう。
デカールは第47戦隊「震天制空隊」ともう1種類入っており、このスケールでは必要十分かと思います。
箱絵の機体にするには、塗装の順序をよく考えて行うのが発色を良くするコツでしょう。
また、パーツのゲートはパーツ側に凸部があるのできちんと整形してから接着するのが綺麗に作るコツのひとつです。
さらに、陸軍機では左主翼に「着陸灯」がありますが、キットではモールドだけですので、気になる方はクリアのプラ材で置き換えるとリアルさが増すでしょう。
小さなキットですが、基本工作をきちんとすることが良い完成品を作る近道でしょう。