恐怖&ホラーシリーズ 怪奇ホラー編 (ホーム社漫画文庫)
丸尾末広さんの犬神博士が文庫本で読めて良かったです。
有名な漫画家さんの作品が一冊に詰まっていて楽しめました。
ホラー漫画は苦手な私ですが、
あまり恐くなく読むことができました。
地獄変 (マジカルホラー (5))
本作の主人公は作者の分身である、自分の吐いた血を貯めて地獄絵を描き続けるという地獄絵師です。ヤクザで旅の博徒の祖父、息子を拷問し続けたサディストの母、死人を相手に飲み屋を営む妻、幼くして強い猟奇性を見せる息子と娘など、彼の家族もみな普通ではありません。
ヤクザに身を落としてはいるが元は唯一のまともな人間であり、子供の頃いつも兄を守ってくれた優しい弟も、襲撃されたあげくおぞましい一片の生ける肉塊と化してしまう。このように、主人公の口から、血塗られた告白が綴られてゆきます…
日野先生がかつて、“親族に関する事実を心象風景として表現した”と語られた事のある自伝的作品です。短編の名作「地獄の子守唄」を極限までエスカレートさせたような内容で、異常なまでのテンションのラストも凄まじい。
ひばり書房から描き下ろしで発表されて以来、出版社を変えながら何度も復刻され続けています。恐怖漫画の裏の帝王である作者が、持てる力の限りを注いで描き上げた、日野漫画最高傑作。
日野日出志の怪奇劇場 わたしの赤ちゃん [DVD]
わたしの赤ちゃん」――ホラー映画の脚本に頭を悩ませる脚本家の男。彼は臨月を迎えた妻を見ているうちに、あるアイデアが浮かぶ。それは、妊婦がトカゲを身ごもるというもの。作品の仕上がりも上々だったが…。「怪奇!死人少女」――ある日突然、医者から“死亡”と診断された少女。身体は普通に動くのに、傷口から徐々に腐敗が進んでいき、優しかった家族の態度も次第に冷たくなり…。
蔵六の奇病 (リイド文庫―Leed horror bunko)
<文庫版>
「蔵六の奇病」「かわいい少女」「鶴が翔んだ日」「赤い実のなる踏み切り」「山鬼ごんごろ」「百貫目」の6編を収録。昔話風の叙情怪奇作品ばかりを集めた統一感のある文庫です。表題作「蔵六の奇病」はもちろん、「山鬼ごんごろ」も人間の残酷さをえぐり出した初期の代表作です。狡猾な人間どもに翻弄されるごんごろがあまりにも可哀そうで、読んでて辛くなります。「赤い実のなる踏み切り」は、1ページ1コマで下段にナレーションが入り進行する、絵本のような詩情ある作品。「かわいい少女」はその名の通り可愛らしい雰囲気の作品です。
<青林堂版>
ひばり書房から出ていた同名作品の復刻版。収録内容は「蔵六の奇病」「はつかねずみ」「水の中」「百貫目」の4編で、どれも素晴らしい作品ばかりです。「水の中」は、交通事故で見るも無残な姿に変わり果てた少年と彼の母親との、耽美に満ちた恐怖幻想譚です。2000年に青林堂から出た復刻シリーズは、「蔵六の奇病」「地獄変」「赤い蛇」の計3冊が出版されました。大きさはA5版で、この「蔵六の奇病」のみハードカバーです。
<ジャンプスーパーコミックス版>
「蔵六の奇病」「白い世界」「百貫目」「山鬼ごんごろ」「かわいい少女」「おーいナマズくん」「人魚」の7編を収録。名作、秀作揃いの優れたオムニバス。大きさはA5版。「白い世界」は主人公の幼い女の子が不憫で涙を誘う物語ですが、ラストは日野流の優しさのある安らかなもので、一縷の救いがある。雪国の風景が美しい。「人魚」は鯉に目がない城主が、部下の陣内に人魚の探索を命じるという物語です。人魚を捕え桶に入れて帰還した陣内が、旅の終わりに見たものとは…?「おーいナマズくん」は気持ちが暖かくなるほのぼのとした作品です。
3バージョン、どれも☆は5つです。
地獄小僧 (ちくま文庫)
76年に少年キング増刊で連載されたものです。凝った設定や濃密なストーリー、起伏ある展開など、日野作品でもトップクラスの完成度を誇ります。間違いなく、長編代表作のひとつ。物語は、少年が“地獄小僧”に転生する前と後で大きく2つに分かれます。
冒頭、円間博士の一人息子の大雄が事故で死亡します。謎の老婆の授けた儀式により彼は墓から甦るが、もう以前の大雄ではありませんでした。前半は、円間家にまつわる因縁、怪物になり果てた大雄の凶行、それを追う刑事などが描かれます。
前半のクライマックス『生まれ変わった怪物』で彼は再び絶命し、全く別の生命体である地獄小僧として生まれ変わります。転生して下水道で育つ様子も面白いです。『武者幽霊』からは、地獄小僧が様々な人間や物の怪と関わりながら、放浪の旅を続ける事となります。
そこはかとない“異端の者の悲哀”が漂う物語で、地獄小僧が雪国にたどり着き、行き倒れて地獄に落とされる『雪少女』『無間地獄』は、特に叙情・悲哀の色が強いです。
もちろんグロテスクで凄惨な描写も満載で、そっちの方面の期待も裏切りません。中でも『悪魔っ子』で地獄小僧が出会う、猟奇に取り憑かれた小学生には背筋が凍ります。空きビンに犬や猫の目玉を詰めてコレクションしたり、ネズミを生きたまま硫酸に漬けて遊んだりするのですから…
ひばり書房の単行本「地獄小僧」に加え、同「恐怖列車」に収録されていた2話分を収録し、さらには「地獄の絵草紙」版出版の際に補完されたラストの9ページもちゃんと入ってます。この1冊で、「地獄小僧」シリーズは全部読めます。
「字吾久城の巻」
「変身の巻」
「円間家の秘密の巻」
「生まれ変わった怪物の巻」
「武者幽霊の巻」
「悪魔っ子の巻」
「雪少女の巻」
「無間地獄の巻」
*これは文庫版のレビューです。ひばり書房版のレビュー蘭にも、自動的に載ってしまいます。