幻の声―髪結い伊三次捕物余話 (文春文庫)
宇江佐真理のデビュー作。作者はたびたび直木賞候補となっているが、このデビュー作も小説としての完成度は高い。函館在住の小説家だが、江戸の情緒や文化を見事に再現する。また、芸者文吉など、女性の描写はピカイチで、独自の市井小説となっている。時代小説における久々の才能といえよう。
卵のふわふわ 八丁堀喰い物草紙・江戸前でもなし (講談社文庫)
男性よりも、女性に受ける作家さんだと思います。
何か、日常暮らしていて、大切なことを忘れていたな・・・
と心がじんわりなれる本です。
この本だけは捨てられません。
宇江佐さんの他の作品もいくつか読みましたが、
この本が一番好きです。
ひょうたん (光文社時代小説文庫)
火曜日に買って帰りの電車から読み始め 木曜日の帰りで読み終えました。
通勤時しか本を読まないのですが 宇江佐真理さんの作品はスイスイと進んで行きます。
短編が6編。古道具屋の夫婦が軸になっています。
近所、親子、兄弟との係わり合いが現代では考えられないようだと思いつつ
日本人の根底にはこんな豊かな心情が隠れているんだろうなぁと 仕事や人付き合いで
付かれた心がホッとさせられるそんな思いで読みました。
各編にでてくる美味しそうなお菜。今度作ってみようかなんて思ったりもしました。
最終編で思わず目に薄涙がにじむ出来事が。
やっぱり人が好きでいられそうです。
さらば深川―髪結い伊三次捕物余話 (文春文庫)
不破友之進との関係修復が最大の関心事ですが、皆ちょいとひねくれた江戸っ子だけに簡単にはいきませんね。けれど、黙っていても時は過ぎ、人もまわりの環境も変わっていく・・・。
一作目「幻の声」の完成度が高かった分、新鮮な驚きは無くなりましたが、キャラクターの個性や舞台設定に「間違い無くこの先も面白いだろう!」と確信できる安定作品となりました。
タイトルからも連想できるのですが、次回作へ期待を膨らませる終わり方も流石。
山本一力さんの解説も面白く、満足できる一冊です。
彼岸花 (光文社時代小説文庫)
江戸を舞台に、人と人との出会い、絆を描いた
6つの作品からなる短編集。
人によって、幸せの形は様々。そして、幸せは
お金では買えるものではない。
そんな当たり前のことを思い出させてくれる作品。