超絶のギター・デュオ
絶頂期の個性が火花を散らす、まさに超絶のデュオ!今のところこれ以上のものはちょっと考えられません。
がしかし、むかし聞いたLP時代の感動がないのはなぜ?音自体はずっとよくなってるはずなのに。このCDに限らず、LPやテープで聞いた感動がCDになるとしぼんでしまうのはなぜなんだ。
イスラム―初期の建築 バグダッドからコルドバまで
美術的な本としても読めました。写真集かと思うほど写真が豊富で、全頁カラー。写真自体も大きく綺麗です。イスラムのデザインに興味がある人は眺めているだけでも楽しいと思います。
“建築”に関して言えば、平面的な概略図もそれなりにありますが多くは実際の写真で、文章もそれほど専門的ではないと思います。
イスラムの変化に富んだ建築文化の流れを、写真を並べつつ説明する、という感じでしょうか。
難を言えば大判なのにハードカバーではないので、少し扱いかもしれません。
シュピルマン オリジナル・レコーディング
音の響きというものを、これほどまでに感じる作品も少ないように思いました。
彼の演奏の中には、常に静けさが存在しているように思われました。しんと静まり返った、湖の湖面のようなひっそりとした感覚が、一つ一つの音を通じて感じられるように思いました。
しかし、ただひっそりとしているだけではなく、そこには音楽というもの、ピアノというものに対する慈しみのような響きがあるようでした。
シュピルマンの経歴は、映画を通じて、世に知られるところになりましたが、それを知らなかったとしても、彼の演奏の奥にあるものを感じられるのではないでしょうか?
クラシックを、初めて聞かれる方にも、お勧めの一枚です。
コルドバの女豹 (講談社文庫)
75年のフランコの死から81年のクーデター未遂余波までを背景とした連作活劇。
私が本作を含む『幻のマドリード通信』『スペイン灼熱の午後』『カディスの赤い星』の
スペイン四部作に魅せられて彼の地を旅したのが88年の夏。
当時の私の頭の中には民主制移行に伴う混乱期のスペインの様子が刷り込まれており、
やや腰の引けた旅立ちであったが、現実のスペインとの時差は7年近くもあり、
幸い小説の様な場面には出会さなかった。
第1話にジプシー街からアルハンブラ宮殿を見る場面が出てくるが、
私も同じ場所から夕闇に浮かび上がる宮殿を眺めた。