土の文明史
読了してレビューを書こうとしたら、とうやん氏が的を射たレビューを簡素に書いていたので、書くのを止めようと思ったが、取り敢えず書きます。
本書には人類が移動せざる得ない事情が記述されています。何故文明が栄えたかではなく、何故文明が衰退したかを土壌を起点に記述されます。
沼湖底ボーリングから得た堆積物から、その周辺の土壌の推移を解き明かします。
農業に多少でも関心のある人なら大半が周知の事実ですが、ひとつ一つのエピソードには説得力があります。
私は野辺山で2シーズン働いた経験から、傾斜農地に土砂降りの雨が降ったらどうなるかや、補助金漬け、化学農薬肥料漬けを体感しました。
また高校生の時、社会科の教師が「トマトは何で出来ているか知っているか。石油だ。」と言われ、理解するまで随分時間が掛かったのを思い出します。
私は有機栽培で出来た野菜は甘く、化学肥料で出来た野菜は苦いと言うレベルで考えていましたが、本書では化石燃料枯渇後を視野に入れ、土壌を最大の資源と捉え、その可能性に言及しています。
土壌保全の第一は天地返しと疑わなかった私には不耕起農法は俄に信じがたい話です。
書籍ではなく、農業関係の定期刊行物からその現状を調べてみようと思うし、実際に農業に携わる人の意見を聞きたくなる程の力を持つ本書です。
富良野の景色も気がついたら変わり果てるのか。土壌以前に国土の狭い日本はどうなっちゃうのと考えてしまいました。
ナッジ・イット・アップ・ア・ノッチ
ジャケットはCDサイズのものとしては、ギャラクティックのクーリングオフと!、2を競う素晴らしもので、クロッパーの名前がなくともスタックスのトレードマークだけでジャケ買いだね。
しかしながら、これはキャバリエのソロアルバムという味わいです。
2曲インストもありますが、それもクロッパー大爆発という感じではありません。
黒人フィーリングの白人同士なのに、絡むと妙に白人臭いことになってまんがな。
キャバリエもグルービン(山下達郎のアレ)で知られるヤングラスカルズのつわもの。
久々で力が入りすぎたのでしょうか。
新しい靴を履いても、妙に似合わない。
古い靴をピカピカに磨いて背筋をスタッと伸ばしたようなライブアルバムを期待します。
風と土のカルテ―色平哲郎の軌跡
数奇な人生を天衣無縫に歩んできたようにもみえる色平医師のルポ。
地域、対話、アジア、学生。家族。本書にあるキーワードのひとつ
ひとつの意味を自分自身として確認し直したくなった。先人の遺志を
ごくごく自然に継承しているこの現代の異人に、いつか会ってみたい。