火星の人類学者―脳神経科医と7人の奇妙な患者 (ハヤカワ文庫NF)
~ 表題の”火星の人類学者”は最終章に登場する自閉症の動物学者の自己を表現した言葉です。サックス氏は単に世界的にもめずらしい驚異の症例を紹介したのではなく、理解しようとして最大限の努力をし、愛情を持って接したことがわかりました。また健常な人たちが、色がわかったら、ものが見えたら、障害が消えたらどんなにすばらしいだろうと考えていること~~が、必ずしもその人の大きな喜びとはならないことも知りました。脳神経科医の書いた本ですので少し難しさもありますが、巻頭では本書に登場する人たちの作品がカラーで紹介されていて理解の手助けとなると思います。~
レナードの朝 [DVD]
何回か泣けてしまいました。
人生ってこうだなー、っと思いました。
頑張って何か成果がでた、とは思うのだけど、また、試練が訪れる。
ところで、話は違いますが・・・薬、というのは、深刻なものですねー
今回は患者さんが、最初の薬の濃度じゃ、もはや効かなくなってしまう。
マイケル(ジャクソン)だって、薬でなくなりました。
西洋医学の薬というものは、体が制御できる範囲での使い方はいいのですが、
強度の使い方では、体の本来の調子を狂わすところまで、行ってしまうような気がします。
東洋医学では、ハリとか、マッサージで神経やら血行の流れをよくして、直します。
そんなことでは治らない深刻な例がいっぱいあるのですが。
西洋医学の薬の使い方は、これからもまだまだ、研究されていかなければならないでしょう。
音楽嗜好症(ミュージコフィリア)―脳神経科医と音楽に憑かれた人々
タイトルに惹かれて購入。
「音楽嗜好症」という、音楽に頭が支配されてしまう症状。
弾きたくてたまらなったり、ずっと音楽が聴こえていたり、ある音楽が鳴ると身体が反応する。
かなり深刻な場合もあり、
現実に悩んで先生に相談されているケースがたくさんあるのだが、
深い症状でなければ、かなり幸せな状況でもある。
「弾きたい」という衝動にかられて、多くの人々が音楽を始めて夢中になっていくというのは
とても素敵であり、「私ももしかしたら・・・?」とわくわくしながら読んだ。
音楽は神からの贈り物。
このままずっと音楽にとりつかれていたいと思う。
レナードの朝 [DVD]
精神医学者のオリバーサックスが記した実話を元につくられた物語。脳の障害によって30年眠り続けた患者の目覚めと苦悩に焦点を当て、人生について問いかける感動作。
夢のような夏の出来事が1960年代に一度だけおこった。それはまるで死者が黄泉の国から舞い戻ったかのような出来事であった。しかし、これは神によってもたらされたものでも奇蹟でもない。常に患者を愛し、工夫と努力、思考を止めなかった医師によってもたらされたものだ。主人公のセイヤー医師は日頃から注意深く観察をおこない、患者に潜む病理の原因と格闘してきた。床の模様を変えたり、音楽を変えたり、小さな努力の積み重ねが大きな路を拓くことに気づかせてくれる作品である。また、医療に潜む光と陰にも注意が払われている。30年の時間が患者に及ぼす影響は見ていても辛くなる。レナードの母親が語るように、普通に生まれてきたことのありがたさに気づかないことが、病気になったときに強い不運として苦しむことになるのだ。この言葉に人生のあるべき姿が凝縮されている。
原題である『めざめ』とは原作ではもちろん患者のレナードらに充てられたものであるが、本作品で本当に目覚めるのは誰か?それはラストから始まる物語でわかるようになっっている。誰もが持っている心の病についてのメッセージがクライマックスで明らかになり、対象とする者への治療が最後で完結する。
いまさら役者の演技についてのコメントは必要ないと思う。数年前ぶりに見直したが、原作者やラマチャンドランの書を読んだ後に改めてみると、面白さは倍増する。星5つの評価で多くのひとに自信を持って勧められる作品。