狂牛病―人類への警鐘 (岩波新書)
そもそも牛を育てるのに、牛の肉(肉骨粉)をつかうこと自体が「共食い」で、しかし、本来棄てるしかなかった肉屑を、節約のため餌として
熱処理して、あえて「共食い」させていたという、経済的な事情、、。
しかし、その熱処理も、過去のオイルショックで、熱量をまたもや節約してしまい、それが病原体「プリオン」をはびこらせて、今日の数百万頭にもおよぶ牛の焼却や、ヤコブ病を惹き起こしてしまった、、という、、、狂牛病は、まさに「人災」であることがよくわかる一冊。
プリオン説はほんとうか? (ブルーバックス)
プリオン説に異を唱えて研究を行っている研究者による著作である.
プリオン研究の歴史と科学的な研究成果が,少し専門的ではあるが,分かりやすく書かれている.
ノーベル賞まで受賞したプリオン説が実はあやうい仮説であることを知り驚いた.実際に病原体とされているプリオンを観測した研究者はプルシナーを始めまったくいない.しかし,プリオン説を反駁する研究成果が挙がっていないことも事実である.現在はプリオン説に反対するレセプター仮説というものが提唱されているが,実験的証拠が乏しく仮説の域を出ていない.
結局,プリオン病の病原体が,現在の計測器や科学技術ではとらえきれないことだと思う.近い将来,プリオン病の病原体が発見される日を期待して待ちたい.
死の病原体プリオン
脳がスポンジ化するこの病気は、どこから、どうやって、感染するのか。行動する科学者、ガイデュシェック博士の調査と仮説を軸に、学者どうしの競争や発病に対する政治的配慮まで、鮮明かつ冷静に展開される語り口に、のめりこんでしまいました。
この恐ろしい病原体は解明されておらず、ここに書かれているのはフィクションではないのですね!
眠れない一族―食人の痕跡と殺人タンパクの謎
イタリアはヴェネト州のある一族に患者が集中する「致死性家族性不眠症(FFI)」。身体の痙攣などの不随意運動と痴呆に似た症状を持ち、患者は眠ることができないまま壮絶な苦しみのうちに死に至るという、考えるだに恐ろしい残酷な病である。自らも原因不明の疾患を抱える筆者は、この奇病に冒された一族の来歴を軸に、類似した症状を持つ、羊や牛を襲ったスクレイピーやBSE、ニューギニアの部族に蔓延したクールー病といった疾患を追い、その原因とされるプリオンの発見に至るまでの歴史をミステリー仕立てで紹介する。
核酸を持たない単なる分子でしかなく、単なる分子であるがゆえに、生命体としての生き残りというセオリーにも当てはまらず、その目的がさっぱりわからないにもかかわらず、感染し、遺伝するという、感染症の従来の概念を覆す謎に満ちたプリオン。科学者たちにとって格好の研究対象であったようで、本書は彼らの野心や功名心をむき出しにした研究レースに触れ、価値判断に影響を受けざるを得ない「科学」の迷走ぶりを描き出している。
副題の「食人の痕跡〜」であるが、人類が、プリオン病に罹患しにくいとされる遺伝子コードを持つに至った理由を類推していく中で、過去に食人によるプリオン病の蔓延があったのではないかということを指しているが、恐ろしいことに我々日本人のほとんどはその遺伝子コードを持ち合わせていないそうだ。我が国でもアメリカでBSEに罹患した牛が発見された際、輸入の全面禁止と、全頭検査を条件とした輸入再開と慌しかったが、政府が対応を急いだ背景に日本人の遺伝子特性があったとは背筋の凍る話ではないか。
難解な科学用語や理論を平易に解説し、なおかつ、脚色が殆どないにもかかわらず、冷静な筆致で小説としても読ませる内容となっており、本書を一流のメディカル・ミステリーたらしめている。一読をお勧めしたい。
史上最強の人生戦略マニュアル
正しく生きても生きなくても不運はおきるし幸運もおきる。同様に、戦略的に生きても生きなくても不運はおきるし幸運もおきる。だから人は人生に悩む。いったい何が真実なのかと、どうすれば幸福になれるのかと。生き方の拠り所としてこのような本を人は読む。人生の幸福のマニュアルを探して。しかし行き着くところは、どうすれば幸福になれるかと思い悩む。幸福とは何かを考えずに。それが人間だから。だから、思い悩んでも自立して正しく生きること、これが大事ではないかな。