HIDE 無言激―ヴィジュアル&ハードショック写真集
Hide自らが監修した写真集の復刻版。患者に扮したHide、片側が腐乱した醜悪な顔で大蛇と戯れるHide、黄金の仏に扮したHide、蘭丸風日本的美少年のHide、砂漠を流浪する旅人(アラブの?)となったHide、近未来のロボットに変身したHide, どのHideもこの世ならぬ美しさ、妖しさ、醜悪さ、怪奇を体現している。これを悪趣味と取るか彼の魅力の根源ととるか・・、大きく分かれるところだと思う。が、各章についたHide自作の詩は、彼のcreativityの源泉で、それぞれが、この写真集出版以降作られた曲の原形である様子が伺える。”浮き彫られていく輪郭は、同化を望んだ周りの結果”はTELL ME, ”許せ月よ・・”、はBlue Sky Complexに、”あいつが俺か、俺があいつか・・”、はBreedingに・・、と具合に(あくまで想像ではあるが)。彼は恐ろしく豊富なモチーフを抱えていたArtistでその可能性を自分自身ですら計りかねていたのではないか。のちのソロデビュー以降華やかに開花していった彼の”夜明け前の美しさ”を湛えた写真集。個人的には星5つ。
ラモー:コンセールによるクラヴサン曲集
音色の対照的なクラヴサンとヴィオールの織り成す美しさは心に沁み入ります。
特にクイケンのヴィオールはシブすぎますね。
ゾクゾクして来ます。
くすんだアンティークの家具が並ぶ薄暗い部屋の奥から、
古色蒼然たるヴィオールの、押しつぶしたような音色が静かに静かに響いて来る、といった感じです。
蛇足ながら、Brilliantから出ているラモーの「Complete Harpsichord Works」に入っているコンセールも
悪くありません。華やかでリラックスした感じの演奏です。
また、コンセール以外のクラブサン曲集のクラヴサンの演奏も力強く安定していますから、
アラカルトでラモーの曲をそろえるのではなく、セットでそろえたいという向きには超お買い得です。
ラヴェル:ダフニスとクロエ
もはや説明など要らないラヴェルの中で有名なバレエ音楽の一つです。合唱まで加わる大編成の音楽です。第1組曲と第2組曲からなり、巷では第2組曲のほうが有名でよく演奏されています。ここで紹介する演奏は、ベルリン・フィルの音楽監督となったサイモン・ラトルのバーミンガム市響時代の名盤です。落ち着いたテンポで曲は進み、ラトルのはきはきとした指揮が浮かぶような演奏です。管楽器のアンサンブルも見事で、特に第2組曲でその威力を発揮します。超有名バレエ音楽のラトル盤を皆さんも聞いてみてください。
ラヴェル:ダフニスとクロエ
チェリさんじゃないと描けない世界です。「ダフニスとクロエ」「ヴァルス」の精密な音の描写。前者のフルートソロに与えていたと思われる明確な指示に表れています。そして、それぞれのエンディングでの大きな爆発というか崩壊。
特筆すべきは「クープランの墓」です。パリを愛したチェリビダッケだからこそ表現し得るフランス音楽と言いたいですね。さわやかな初夏の夕べを思わせる音楽。力を入れていることを感じさせないリラックスした演奏は「禅」の影響を感じさせます。ラヴェルのどちらかというと軽く見られがちな小品をきちっとまとめ上げており、彼のこの作品に対する愛情を感じます。
文句なし!です。