Reinkaos
スウェーデンのメロディックブラックメタルバンド、ディセクションの復活3rd。
北欧メロブラの金字塔となった2nd「Storm the Light's Bane」発表後、リーダーのジョンは
殺人容疑で逮捕され、その後バンドは沈黙状態に陥るがジョンの出所とともに復活し、こうして待望の新作を発表した。
しかし、ジョンはこの作品を遺し自殺という形でこの世を去った。
期待していたサウンドの方だが、かつてのように突進する疾走感は薄れていて、ブラックメタルとしての禍々しさを求めてるとやや肩すかしをくらうが北欧独特のもの悲しい質感を含んだメタルサウンドとして聴けばやはり高品質。
全体的にミドルテンポ主体であるが、ザクザクとしたリフの中にヴァイキングメタル風のメロディを取り入れたりと、ソングライターとしてのジョンの多様な才能が垣間見える作品だ。
未来あるはずだった彼の死はつくづく残念に思う。
Stiff: The Curious Lives of Human Cadavers
本当なら、少し想像するだけで、ここに書かれているように、死体(=献体された遺体)が生き生きと活躍している世界が密かに世の中に展開していることは、当然のことに過ぎないのかもしれない。どれほどがんばっても、人間の身体の代わりは人間の身体にしか出来ず、生体を使えないのなら死体を使うしかないからだ。しかし(日本では欧米以上に)死体を見せることは、性的なもの以上に禁忌感が強いので、我々が日常生活でこのような世界を垣間見ることはほぼ確実にないし、普通の神経の持ち主なら「恐れ多さ」や「不謹慎感」も手伝って、知りたいとも思わないのだろう。しかし、少し想像力を働かせるだけで、死体がこのような役割を果たすことでどれほど多くの人々を助けているのかも明らかなのだ(そうは言っても、アメリカには、犯罪被害者の死亡時刻推定のために、実際に様々な状態/場所で遺体を腐敗させる研究所がある、というのはかなり驚くが)。
作者が実際に突撃取材をしたルポ(かなり笑える)と古今東西の(これまたなかなか笑える)引用の数々が絶妙のバランスで、この本を他の「死体についての本」とは一線を画したものにしている。少なくとも、ほとんどの読者にとっての「あなたの知らない世界」が展開されていることだけは、お約束できるだろう(さらには、笑える読書体験でもあるし、非常に教育的でもある、最後に献体の仕方も書いてある)。
翻訳も出ているが、表紙や各章の扉の写真など遊び心は原書の方が数段上。それにしても、日本の遺体事情はいったいどうなっているのだろう?同じ内容の本を出すにしても、はるかに真面目なものになってしまうのではないだろうか。