Hell Freezes Over
本作の収録曲は冒頭の4曲を除いて同名DVDで入手できる94年のMTVスペシャル・コンサートでの再結成ライヴでの録音。そのDVDの素晴らしさは既にレビューで紹介した通りである。本作収録の曲は全部そのときライヴ演奏され、DVDで視聴できるし、さらにDVDには本CDには含まれていない「ヘルプ・ミー・スルー・ザ・ナイト」と「ザ・ハート・オブ・ザ・マター」も収録されている。ではDVDだけ持っていればよさそうだが、ちょっと待ってほしい。本作の特徴はそのライヴ・コンサートのために用意された新曲4曲のスタジオ録音版が含まれていることである。このように新曲をライヴで披露するだけでなく、スタジオ録音もきちんと用意して提供するところが、何とも律儀で好感が持てる。そしてその新曲が何れものびやかな秀曲ばかり。ホテル・カリフォルニアの大成功のプレッシャーを完全に振り払って、ホテル・カリフォルニア以降はこの路線だという姿勢を明確に示している。思えばホテル・カリフォリニアからこの境地に至るのに20年近くの歳月を要したということだが、このCDとライヴ・コンサートが新生イーグルスの門出を飾ったことは間違いない。スタジオ録音4曲以外については、DVDのレビューで書いたことの繰り返しになるが、アコースティック・サウンドの多用とドン・ヘンリーを幾つかの曲でヴォーカルに専念させたのが、単なる懐メロの再現以上の効果を奏しており、ライヴ盤としても超一級の出来である。なお、DVDと本作ではライヴ演奏された曲の収録順が異なる。また、DVDには収録曲の歌詞カードがついていなかったし、演奏部分では日本語字幕もなかったが、本CDではしっかり英語と日本語の歌詞カードが付いていることも付言しておく。
Pretty Maids All in a Row [DVD] [Import]
邦題『課外教授』。1971年米MGM提供作品(同年国内公開)。カラー・ビスタサイズ。上映時間92分。
『危険な関係』『血とバラ』『戦士の休息』等で耽美派の名をほしいままにしたフランスの鬼才・ドンファン監督のロジェ・ヴァディムがSF巨編の『バーバレラ』に続いてハリウッド資本で作った、知る人ぞ知るSEX犯罪ブラックコメディの隠れた傑作。
ロック・ハドソンが高校の課外指導員を務める米国の地方都市の高校で美女学生ばかりを狙った殺人事件が次々起きる。刑事役が「刑事コジャック」からそのまま抜け出てきたようなテリー・サヴァラス。ほかにハドソンの同僚で女刑事ペパーで日本のお茶の間でもお馴染みとなった(山東昭子さんが吹き替えをしてはまり役となった)アンジー・ディッキンソンも登場する。
この風変わりなテイストの映画は当時は、ほかにはほとんど存在しなかった。アルトマンの『BIRD★SHT』にやや近いテイストがあるといえるかも知れないが、それよりもっと通俗的で、ひねくれた感じがするところが大好きな理由だ。
前述のような日本のお茶の間関係での人気俳優が多数登場するためか、この世界的にも不入りとなった本作は約30年前に民放キー局の深夜枠で日本でも吹き替え版が電波に乗ったことがある。小子はその際に本作を見ることができた。懐かしいので本DVDも購入、本日到着。小ロット生産のDVD−R仕様。リージョナルコードの表示はない。字幕は一切なし。ビスタのスクイーズ収録でハイデフかと見間違うほどの高画質商品だ。
ちなみにツタヤ代官山店で始まったDVDオン・デマンド・アーカイブのコレクションに早くも本作がラインアップされていたのを本日発見。ところが、ツタヤのオン・デマンドDVDはほとんどがスタンダード・サイズ。つまりマスターが本国のものではなく、日本でTV放映かVHSで出たものをそのままDVD化しているようだ。画質は望むべくもない、と注意喚起しておく。