菊池武夫の本
読後はまるで質の高い映画を観た後のような充実感に満たされます。
この本は、見た通り、表紙、カバーも美しいディープブルーで統一され、
テーマカラーでもある「青」に因んだ章(つまり、「青二才」、「青天井」など)で綴られ、
小口(本の切断面)までそのブルーで統一されています。
見た目も素敵ですが、読み進めていくと、さらにこの「青」の秘密がはっきりとします!
その粋な演出は映画そのもの。
説明しにくい内容をとてもわかりやすく書いた、
読み手への思いやりに溢れた文章や、ビジュアル、テーマ、コンセプトなど
この本は、すべてのバランスにおいて感服せざるを得ません。
菊池武夫さんが自身を語るだけでなく、寄稿や対談などもあり、内容の濃い一冊です。
70年代から今まですっと第一線を走り続けてきた大御所ですが、
菊池武夫さんは、業界では「タケ先生」と呼ばれ親しまれていると聞きました。
その呼び名は「先生」(つまり尊敬を含む敬称として)ですが、
「菊池先生」でも「武夫先生」でもなく
「タケ先生」という、語幹も潔い心地よい響きで、
アニキ+紳士的 という相反する要素を併せ持ち、
破天荒ながら情に厚い人柄 も感じられるのです。
この本を読むと、そういう「タケ先生」の人間味に触れることができ、
また本物のクリエーションというものを体感させてもらい、
さらに未来へ向かう希望を与えてくれます。
大切な一冊となりました。
「タケ先生」ありがとうございます。