テレビ放映を見ただけだが、強く記憶に残っていた作品の一つである。
ソフトは高価なので手が出なかったが、先日、日本映画専門チャンネルで放送されていたので、20年ぶりに見てみた（音楽はサイモンとガーファンクルなどが使われていた）。

舞台となる1970年は、“政治の季節”といわれるが、メインの4人は、「政治」より、女性が気になって仕方がない。一見、硬派に見える筒井道隆さん演じる「番長」でさえ、吉岡秀隆さん演じる「のんぽり」にラブレターの代筆を頼むなど、政治とは全く無関係の高校生活を送っている。そして、「のんぽり」も、その女性に惹かれだす。ほかの二人も恋が実ったり、振られたりだが、それぞれに青春を謳歌している…

ここまでなら、何も「1970」でなくてもよい話である。しかし、終盤で4人の内の1人が「国家」にかかわる選択をしたことで、一気に自分たちと政治が結びつき、「1970」でなくてはならない話となる。そういう意味では、見事だとしか言いようがない。

主人公たちよりも10年ほど後に生まれたので、本当の意味で、当時青春時代を送った人々の気持ちは分からない。ただ、自分の青春時代と比較したとき、彼らの青春は羨ましい。みっともないこともかなり多く描かれているのだが、全体に何事に対しても“真摯”なのだ。

おそらく終盤での「選択」にかかわって、地上波での再放送やＤＶＤ化が困難になっている気がしてならない。何とも残念なことである。