この作品の怖さは、スプラッター描写よりも、物語の序盤に、でんでん扮する犯人が吹越満家族を絡め取っていく様子にあると思う。
笑顔で相手の弱みを掴み、それを恐喝までいかない程度に利用しながら、相手を意のままに手中に収めてしまう。
笑顔でジワジワと距離を詰める。
相手が逃げない程度に。
そしてワケが分からないうちに殺人まで手伝わされて、気付いたら逃げ場なし。

相手の性格を一瞬で見抜き、取り込んでしまう。
これは犯人の才能だろうと思う。
もしも別の途でこの才能を活かせていれば、もっと違う成功があったかもしれないが。

良くヤクザや政治家は人心掌握に長けると言われるが、このでんでん扮する犯人も同じである。

実際に起こった連続殺人事件をモチーフにした作品なので、トリックやドンデン返しは期待してはならない。