「ウエスタン」、「夕陽のギャングたち」から続く「ワンス・アポン・ア・タイム」三部作の終局。

１９３０年代の禁酒法時代の“過去”から３０年後の“現在”まで行き来し真相を紐解いていくギャング映画の大作。

個人的には「続・夕陽のガンマン」がレオーネの最高傑作だと思っているが、俺の一番好きなレオーネの映画はコレなんだよなあ。
ドラマ、アクション、緊張、緩急、密度、そして漢と女たち。その集大成とも言える傑作。

フランシス・F・コッポラの「ゴッドファーザー」が殺しの依頼から始まるのに対し、この映画はいきなり“滅び”のシーンから始まる。

人気の無い暗い部屋、女が一人部屋に入ってくる。
女が明かりを付けると、ベッドには人の形を象った弾痕の跡が。
その瞬間、男の写真立てを割る拳銃を持った男たち。
男たちが写真の男の行方を尋ね・・・というファースト・シーンだ。
冒頭からショッキングな場面が続く。一連の殺し合いが終わると、映画は過去へ遡り、そして“現代”と行き来をはじめる。

クローズ・アップのくどさに辟易するが、そんな事は壊れた壁の隙間から過去に飛ぶシーンの素晴らしさが忘れさせてくれる。

現在のシーンは昔を尋ねる場面だけで退屈なものになるのかと思っていると、あの壁穴から一気に過去へとジャンプしたもんだから驚きだ。
もう退屈と感じるシーンは微塵も無いのだから。美しさと強烈、凶悪さを秘めた映像が見る者の心を最後まで掴み離さない。

ヌードルスたちの幼少期から成長・権力を掴み、やがて滅びゆく過程をじっくり描いたストーリーは面白い。ギャングに成長するまでの青春の日々が一番好きなんだ。大人になりかけの子供と言いますか。
ヌードルスと“マザー(おかあさん)”マックスが出会い“叔父”になるシーン、
時計の会話、
幼馴染？デボラとのささやかな会話、
塩を使った運送業、
警察との“取引”＆童貞卒ぎょ(ry

この映画どんだけ女とヤりまくるんだよ(褒め言葉)
「このケダモノ(嬉)ロクデナシ(惚)」

レオーネ特有の長回しも皆無に近いのが逆に好印象。

ヌードルスたちが成長して殺しの限りを尽くすシーンも好きだ。
霊柩車での“死者蘇生”、
揃う「黙示録の四騎士」、
“男の勲章”を女に選ばせるシーンのおかしさといったら。
密告、裏切、下剋上。
綿の機械？工場での追走劇はカール・テオドア・ドライヤーの「吸血鬼(ヴァンパイア)」を何故か思い出した。吸血鬼は工場のおがくずの中で息絶える。

車上で“暴走”するヌードルスの愛。あえて合成の車外映像が、ヌードルスの愛がデボラの心ではなく肉欲、“偽”の愛情である事を暗示する。

何いかにも哀しげな音楽で誤魔化そうとしてんだよwwwふざけんなwww
無言の「別れ」が終わりを物語る。

それとも、ヌードルスはデボラを巻き込まないためにあえて彼女の心が離れるような事をしたのだろうか。どっちにしても、何でそんなに素直じゃないんだか。

禁酒法の終わりはヌードルスたちの友情の終わりも告げる。
コーヒーカップをかき回すシーンの異様な緊迫感、
一世一代の“大博打”、明かされる真実、ゴミ清掃車という名の霊柩車・・・ラストのヌードルスの哀しき笑みは忘れられない。