あれは私の成人式の日でした。式の後、久しぶりにあった中学校の時の友人の家に数人で集まったのでした。
　そこで、友人が取り出したのは、初恋のメロディーと落ち葉のメロディーのドーナツ盤でした。
　大きな家具形の4チャンネルステレオから彼女の歌声が聞こえてきました。
　歌詞のような「可愛い彼女が駅で待っていてくれる」とか、「白い波止場に車を止めて暗くなるまでそばにいてほしい」なんてこととは
全く縁のない生活をしていた私たちには、彼女の可愛い歌声と歌の内容をを夢物語として聞きました。
　20歳になったとはいえ、昔の若者ですから、車も持たず、金もなく、彼女の歌の内容は夢でしかありませんでした。
　同じ年の麻美さんは雲の上の人でした。

　今も同じ声であの時の歌が聴けるなんて、ありがたいです。
　単なる個人的な思い出でございました。