構造を極限までシンプルにしながら、三角尾翼など、ダ・ヴィンチがアイディア・スケッチに残した合理的なオーニソプターのデザインを取り込んでおり、駄玩具などとは侮れない美しさがある。

　部品は、すでに長さを切りそろえた竹ヒゴ、整形済みのビニールの羽根、プラスチック製のクランク部、細かな針金、両面テープ、ゴムヒモなど。ほんとうに最小限のみ。問題は羽根で、これが小さい袋に折りたたまれているので、シワシワ。それでも問題はないのだろうが、かっこうわるいので、それから型取りして、透明ビニールで自作し直した。

　工作は、現実には子供ではかなり難しいだろう。プラ部品にゴム管を通してＺ型の針金を止めるのは、コツがいる。まして、へらへらの羽根に２ミリ幅の両面テープをまっすぐに貼って、竹ヒゴにシワなく付けるのは、大人でも容易ではない。針金の先で指にケガをしたり、物にキズをつけたりしないように、赤い樹脂キャップが付いていることなど、気使いは細かい。また、１０番の部品が余る。これはゴムヒモを巻くときにクランクに付けてつかうのだろうか。

　ギアもなにもないので、ゴムヒモを巻いた回数だけしかはばたかない。しかし、きちんと調整さえすれば、数十メートルはかるく飛ぶ。プロペラ機と違って、まさに優雅に羽ばたきながら飛ぶ姿は、とても感動的だ。全体にとてもバランスがいい。ただ、羽ばたきを前提とした機体で、尾翼をかなり上げている（15度）ので、最後は失速状態で頭からがくんと落ちる。壊れたら、自分で部品を補って直すつもりでいた方がいい。

　そのほか、羽根に絵を描くなどはもちろん、いろいろ改造や工夫の余地がある、基本的なキットだ。最初から同じものをいくつか入手して、羽根の形を変えてみる、ゴムヒモを換えてみる、など、いろいろ楽しめそうだ。