本屋で何となく気になった短編集を、数冊まとめ買いした中の一冊でした。

読んでいる最中、不思議に思いました。
面相筆を使って描かれたという一見奇妙な描画が、なぜこうも私の心をつかんで強く揺さぶるのかと。
登場人物の真意や過去が描き出される度に人物のリアリティが増し、作品にのめり込まされていったように思います。

一話読み終わった後や読破後に気持ちを落ち着かせる時間が必要で、こんな本にはめったに出会えないと思います。
ずっと大切にしたい一冊です。

郷田先生の作品は、絵が独特なので違和感を感じる人も多いと思いますがいったん読み始めると中毒のように感情移入できるのでぜひ読んでほしいと思います。

最終章にふさわしく、ひかると森田の恋の行方が語られると同時に、懐かしいキャラが再登場します。
ファーストシリーズで、キャラが立ちまくっていた姉小路です。
実は『モリのアサガオ』には、本シリーズの登場人物が数多く登場しており
姉小路も渡瀬満の事件で監察医を勤めていたことが語られます。
最後に白川まことも再登場し、ある出来事と決意で、物語は締めくくられます。

筆者は、郷田作品の新作が出る度、本編よりも先に、著者直筆の近況から読むのですが、
毎回毎回、ここまで書いてしまいますかと唸ること頻りで。
今回もトバシてます。