Live in London [DVD] [Import]
フォークロアやブルース系統の曲や歌に興味があり、最近は少し偏っているかな、といった感じもあるのですが、うかつにもレナード・コーエンを見のがしていました。昔から知り合いの関西フォーク歌手のDJ番組で「好きな歌手」として紹介しているのを耳にし、試聴してショックを受けました。今はこの人ひと筋です。現在79歳のはずです。
Popular Problems
2014年でキャリア58年目(!)を迎えたカナダのシンガーソングライター、Leonard Cohenの13作目。
ジャケの赤と黒の影が示唆する通り、基本的には前作"Old Ideas"の流れを汲んだ作品です。
前作同様、冒頭からかなり良い曲がまとまっており、アフリカンなドラムス、ジャズ系のピアノが何ともかっこいい二曲目の"Almost Like The Blues"、作中で最もロマンチックな三曲目”Samson In New Orleans”あたりで完全にノックアウトされました。
女性コーラスも絡めたメロディは、どれも美しく郷愁的。Tom Waitsにも似てきたCohenのしわがれたボーカルは、そんなメロディラインを無視するかのように、ただ淡々と呟くように謳い続ける。本当に良いです。
歌詞も見事。熱心なファンに言わせればこれでも全盛期ほどでは無いそうですが、多くの音楽家、評論家、ファンから音楽史上最高の作詞家と言われる所以は十分すぎるほど感じられます。Cohenの十八番である儚い愛を謳った叙情的な歌詞、そして時おり見せる冷徹さすら感じさせるほど浮世離れした視点、表現は、英語の詩なんて授業でしか読んだことがないような私が聞いても何か心にくるものがありました。
今までのCohenからの変化は全くと言って良いほどありませんが、絶大な期待が寄せられる中でも平然とそれに応えてくれる作品を出してくれるのはさすが。
Bob Dylan、Tom Waits、Michael Gira、Scott Walker等々、上手い歳の取り方をしたシンガーソングライターは妙な悟りを開いて別次元の境地に辿り着くことがよくあるような気がしますが、本作もその例に漏れず素晴らしい作品です。とにかく感嘆しきりでした。
ジャケの赤と黒の影が示唆する通り、基本的には前作"Old Ideas"の流れを汲んだ作品です。
前作同様、冒頭からかなり良い曲がまとまっており、アフリカンなドラムス、ジャズ系のピアノが何ともかっこいい二曲目の"Almost Like The Blues"、作中で最もロマンチックな三曲目”Samson In New Orleans”あたりで完全にノックアウトされました。
女性コーラスも絡めたメロディは、どれも美しく郷愁的。Tom Waitsにも似てきたCohenのしわがれたボーカルは、そんなメロディラインを無視するかのように、ただ淡々と呟くように謳い続ける。本当に良いです。
歌詞も見事。熱心なファンに言わせればこれでも全盛期ほどでは無いそうですが、多くの音楽家、評論家、ファンから音楽史上最高の作詞家と言われる所以は十分すぎるほど感じられます。Cohenの十八番である儚い愛を謳った叙情的な歌詞、そして時おり見せる冷徹さすら感じさせるほど浮世離れした視点、表現は、英語の詩なんて授業でしか読んだことがないような私が聞いても何か心にくるものがありました。
今までのCohenからの変化は全くと言って良いほどありませんが、絶大な期待が寄せられる中でも平然とそれに応えてくれる作品を出してくれるのはさすが。
Bob Dylan、Tom Waits、Michael Gira、Scott Walker等々、上手い歳の取り方をしたシンガーソングライターは妙な悟りを開いて別次元の境地に辿り着くことがよくあるような気がしますが、本作もその例に漏れず素晴らしい作品です。とにかく感嘆しきりでした。
ポピュラー・プロブレムズ
傘寿(80歳)記念作品『よくあること(大ごとではない)』。
せいぜいあと数年と、死を認識した人間が、最後まで生きる実感にまみれた生きざまを、言葉と声に託そうとした壮絶な作品。少なくとも、自分のような、何もかもが未熟な生き物にとっては、壮絶という極端なワードしか出てこない。
不遜な言い方で恐縮ではあるのだが、彼の新しい作品をこれからあといくつ聴くことができるのだろう。そう思いながら、しがみつくようにこれを聴いている。
そして聴けば聴くほど、(重ね重ね不謹慎で申し訳ないのだが)、この男の新しい作品は、決して多くは聴くことはできないのだと、この録音の、殺気にも似た静かな達観に圧倒されて、時間を忘れる。この作品には、「余裕」はない。
自分にとって、「よくある話」と名づけられたこの作品の声を聴き、そして言葉を聞くということは、「人の死にゆくさま」の内面をつぶさに見届けるということなのか。厳しいことだけれども、そうなのだろう。ルー・リードのことを、なぜだかわからないけど、思い出した。
みんな、誰でも必ず死を迎える。それは大したことじゃない。よくあるはなし。
80歳の老詩人歌手の、実はとてもわかりやすいことばの歌がここにある。
せいぜいあと数年と、死を認識した人間が、最後まで生きる実感にまみれた生きざまを、言葉と声に託そうとした壮絶な作品。少なくとも、自分のような、何もかもが未熟な生き物にとっては、壮絶という極端なワードしか出てこない。
不遜な言い方で恐縮ではあるのだが、彼の新しい作品をこれからあといくつ聴くことができるのだろう。そう思いながら、しがみつくようにこれを聴いている。
そして聴けば聴くほど、(重ね重ね不謹慎で申し訳ないのだが)、この男の新しい作品は、決して多くは聴くことはできないのだと、この録音の、殺気にも似た静かな達観に圧倒されて、時間を忘れる。この作品には、「余裕」はない。
自分にとって、「よくある話」と名づけられたこの作品の声を聴き、そして言葉を聞くということは、「人の死にゆくさま」の内面をつぶさに見届けるということなのか。厳しいことだけれども、そうなのだろう。ルー・リードのことを、なぜだかわからないけど、思い出した。
みんな、誰でも必ず死を迎える。それは大したことじゃない。よくあるはなし。
80歳の老詩人歌手の、実はとてもわかりやすいことばの歌がここにある。
Death of a Lady's Man
歌が上手い
ジャケットがよい
フィルスペクタープロデュース。
1977年作品。
やさぐれてる。
デカダンの極み。
得体のしれない活力にあふれてる。
サウンドは、ちょうど、ジョン・レノンの「女は世界の奴隷か」みたいなサウンドである。
とにかく なんだか知れないけど やたらアナーキーな音楽だ。
美しいメロディーは たぶんどこにも無いけど、
わかりやすいコード進行だから、
楽しく最後まで聴ける。
フィルスペクターも、わけのわからない怪作を残してくれたものだ。
そして、レナードコーエンの七変化っぷりもすばらしい。
とにかく、わけのわからない、豊穣で豊かでアナーキーでフリーキーでメロディアスパラで聴きやすくエナジェティックでトリメンダスでアンドロギュノスな作品である。
他のすべての音楽に飽きた時にどうぞ。
あるしゅアヘン窟みたいな音楽である
ジャケットがよい
フィルスペクタープロデュース。
1977年作品。
やさぐれてる。
デカダンの極み。
得体のしれない活力にあふれてる。
サウンドは、ちょうど、ジョン・レノンの「女は世界の奴隷か」みたいなサウンドである。
とにかく なんだか知れないけど やたらアナーキーな音楽だ。
美しいメロディーは たぶんどこにも無いけど、
わかりやすいコード進行だから、
楽しく最後まで聴ける。
フィルスペクターも、わけのわからない怪作を残してくれたものだ。
そして、レナードコーエンの七変化っぷりもすばらしい。
とにかく、わけのわからない、豊穣で豊かでアナーキーでフリーキーでメロディアスパラで聴きやすくエナジェティックでトリメンダスでアンドロギュノスな作品である。
他のすべての音楽に飽きた時にどうぞ。
あるしゅアヘン窟みたいな音楽である