絵コンテ集がメイン。
これに書かれている絵が映画になったとわかる。
次回作がたのしみだ。

このドラマの魅力は、渡辺謙演じる草平の昔風の男の姿だろう。自らの矜持を持ち、それで自分を律する男。物作りの職人としては素晴らしい技能を持ちながら、それを活かせない。生きるのに器用ではない男。人生をズルく立ち回ることのできない男。

山田太一は、そんな「昔風の男」をあえて主人公にした。そのことで、現代の日本のありよう（蒲田の町工場のような、物作り・日本の中枢とも言える場が厳しい状況に置かれている、また草平のような素晴らしい技能の職人が報われにくい状況になっている）に疑問を投げかけているのではないだろうか。
また、家族の在り方についても、草平という「昔風の男」の主人公を置くことで、再確認をしているようにも思える。父親が仕事に打ち込み、そこに誇りを持つ姿、それに動かされて自分の中の何かを変えようとする娘…もう一度、人としての原点、家族の原点を、山田太一は描こうとしているようにも思える。

さらに、この「遠まわりの雨」では、濃厚な恋愛感情を感じた。プラトニックであり、心の中で恋愛感情を抑制しているだけに、そこをかいくぐって表現される感情は熱い。エロチックなシーンは皆無だが、むしろそれ故に官能的とも感じた（表現は適切ではないかも知れないが）。
草平も桜も若くはない。ラストの鎌倉でのひと時は、現実の人生のレールを歩まざるを得ないそんな二人の姿が切なく、それ故に迸るような情念を感じた。

予想よりページ数少なくてガッカリでした・・・。
宇賀ちゃんの写真自体は良い。