読みきり五本、物語の舞台はフランスっぽかったり中国だったり
日本昔ばなしだったり大正ロマンだったりと色々。
話も色々、なのにどれも心に触れる切なさ、温かさがあります。
これがこの著者の持ち味なんだと思いました。

アマリリスは青年誌でも異色の設定。
おもちゃっぽい絵柄で、決して扇情的な描き方はしていないので苦手な人でも読めると思います。
私が好きなのはまんが日本昔ばなしな「ハルよ来い」。
山姥に育てられた子供の話。
家族ものに弱いので、最後のヤマウバ様にほろっと来ました。

主人公が女装して苦手な同級生をからかおうとする「私と小百合」も大好きです。
表紙がすごくかわいい！
大正の学生さん、モダン着物、弓道と好きなもの詰め合わせでした。
一番心に残ったのは二人がお辞儀してる所です。
坂東君（同級生）は不器用だな、と思いました。
話の終わりも余韻があります。
弓を引く坂東君がかっこいいので、また弓道を取り入れた作品を描いて欲しいです。

アマリリスは家族や友情を描いていて、同時発売の「スイミング」は
恋心を描いています。
著者の福島先生が青年誌に移ってくれて本当に嬉しいと思いました。
描きたいものを描いて欲しいです。

今までジャンプで連載されたどの侍マンガとも一線を画した作品。
ジャンプで侍マンガというと当然バトル路線を連想させますがこの作品は全く違います。
次の週でバトルに突入かと思えば一週で決着がついたり
のほほんとした日常が何週も続いたり・・・
当然バトルで「○○○！」などといった技名を言うこともありませんｗ
非常にゆったりとした気分で読めるマンガです。

おそらく小中学生よりは大人向けかな・・・という感じです。
まったりとした雰囲気を味わいたい人にオススメ。
新婚生活を描いたマンガということで妻帯者にもオススメですｗ

「サムライうさぎ」で福島さんの事は知っていましたが
ジャンプで「月水金はスイミング」を読んで衝撃を受けました。
恋愛漫画としてニセコイやいちご１００％のような展開を期待して読んだのに
肩透かしを食らったような感覚、
でも心に引っかかって何度も何度も読み返したのを覚えています。

どこかしら高野文子さんを感じるモノローグ、
ジャンプ漫画のエンターテイメント性を抑制した文学的な表現。
確かなデッサン力の上でデフォルメされた画面。
大袈裟ですが、新しい漫画の形を感じました。

漫画の作りばかりに触れてましたが、
ストーリーも素敵で、愛おしくなるキャラで魅力に溢れています。
とてもおすすめです。