モノノ怪 弐之巻 海坊主 [DVD]
映画館勤務なためいわゆる最先端の映像技術や3D映画も頻繁に目にしますが、
そのまま映画館で流したい、1級の作品です。この「海坊主」に限らず。
徹底的にこだわりぬいたつくり、どこのシーンを切り抜いても完璧な画面レイアウト、
和紙のようなテクスチャを貼った独特の質感。
選りすぐりの声優陣を揃え、細部に仕込まれた遊び心も楽しい。
絵や背景美術の素晴らしさは今更言うに及ばず、
練りこまれた脚本は観れば観るほど奥深く、考えさせられ、深い感動を覚えます。
絶賛するレビューしかなくてそれが眉唾に思う方も少なからずおられると思いますが、
本当に騙されたと思って一度ご覧になってみて下さい。
そのまま映画館で流したい、1級の作品です。この「海坊主」に限らず。
徹底的にこだわりぬいたつくり、どこのシーンを切り抜いても完璧な画面レイアウト、
和紙のようなテクスチャを貼った独特の質感。
選りすぐりの声優陣を揃え、細部に仕込まれた遊び心も楽しい。
絵や背景美術の素晴らしさは今更言うに及ばず、
練りこまれた脚本は観れば観るほど奥深く、考えさせられ、深い感動を覚えます。
絶賛するレビューしかなくてそれが眉唾に思う方も少なからずおられると思いますが、
本当に騙されたと思って一度ご覧になってみて下さい。
汎虚学研究会 (講談社ノベルス)
竹本健治といえば、大学時代に書いた『匣の中の失楽』で日本の探偵小説界では伝説的に作家だ。ベストセラー作家とまでは言えなくても、その後も実在の推理小説家を登場させた虚虚実実の『ウロボロス』シリーズなどで存在感のある作家だ。
そしてこの連作集も多彩な方法論を織り交ぜている。ある程度自由な校風の、寮も備えたミッション中学を舞台としている(ん!? どっかで似たような学校があったような?)。主人公は2ch用語でいう『厨二病』満開な連中にも思える。
しかし、それよりもこの連作集のキモはやはり竹本健治らしい多彩な小説としての方法論ではないだろうか。一話目はそれはちょっとありえないんじゃないの?と思いつつも『本格』の範疇で理解できるが、2話目は超常現象を許容したホラーだし、3話目は『日常の謎』の範疇といえそうだ。第4話は夢についての話で断片的な幻想小説の域に入っている。
キャラの立ち具合に魅力があり、是非続編を期待したい。というより、萌えアニメにされた『氷菓』よりよほどアニメ化に向いている素材だとと思う。
そしてこの連作集も多彩な方法論を織り交ぜている。ある程度自由な校風の、寮も備えたミッション中学を舞台としている(ん!? どっかで似たような学校があったような?)。主人公は2ch用語でいう『厨二病』満開な連中にも思える。
しかし、それよりもこの連作集のキモはやはり竹本健治らしい多彩な小説としての方法論ではないだろうか。一話目はそれはちょっとありえないんじゃないの?と思いつつも『本格』の範疇で理解できるが、2話目は超常現象を許容したホラーだし、3話目は『日常の謎』の範疇といえそうだ。第4話は夢についての話で断片的な幻想小説の域に入っている。
キャラの立ち具合に魅力があり、是非続編を期待したい。というより、萌えアニメにされた『氷菓』よりよほどアニメ化に向いている素材だとと思う。
匣の中の失楽 (講談社ノベルス)
>出版社/著者からの内容紹介
>探偵小説狂の仲間うちで黒魔術師と綽名されていた曳間が殺害された。
>しかも友人のナイルズが現在進行形で書いている実名小説が予言した通りに……。
>弱冠22歳の青年が書いたこの処女作は伝説の名著となった。
>巻末には綾辻行人との対談、また秘蔵の創作ノートも同時収録。
>--このテキストは、絶版本またはこのタイトルには設定されていない版型に関連付けられています。
この紹介は双葉文庫版のものです
講談社文庫版のものではありませんので、うっかり注文なさいませんように
講談社文庫版の松山俊太郎氏の解説も「ものすごい」ので、テキスト的には貴重ですから、古書ででもぜひお手元に!
作品自体は5点満点です
初出の幻影城ハードカバー版が出てすぐに読んで、この講談社文庫版を2回読みました
次は双葉文庫版で読もうと思います
何度読んでも「くらくら」する傑作です
>探偵小説狂の仲間うちで黒魔術師と綽名されていた曳間が殺害された。
>しかも友人のナイルズが現在進行形で書いている実名小説が予言した通りに……。
>弱冠22歳の青年が書いたこの処女作は伝説の名著となった。
>巻末には綾辻行人との対談、また秘蔵の創作ノートも同時収録。
>--このテキストは、絶版本またはこのタイトルには設定されていない版型に関連付けられています。
この紹介は双葉文庫版のものです
講談社文庫版のものではありませんので、うっかり注文なさいませんように
講談社文庫版の松山俊太郎氏の解説も「ものすごい」ので、テキスト的には貴重ですから、古書ででもぜひお手元に!
作品自体は5点満点です
初出の幻影城ハードカバー版が出てすぐに読んで、この講談社文庫版を2回読みました
次は双葉文庫版で読もうと思います
何度読んでも「くらくら」する傑作です
モノノ怪 壱之巻「座敷童子」 [DVD]
視覚で楽しむ最高の贅沢が詰まった作品だと思います。
テンポがいい作品も一話にぎゅぎゅっと詰まっていて好きだけど、モノノ怪は流れる時間が酷くゆっくりに感じられて、世界と時間に酔える。
目に見えないモノノ怪を相手に命の危機が迫っているのに薬売りさんの言葉、セリフの間の使い方が絶妙で最高に心を掴みます。
見たいシーンがありすぎて、最後まで見終わっても何度もループしてみたくなる魅力が詰まっています。
ホラーアニメですし、流血表現があります。好き嫌いが分かれるかもしれません。
極彩色で繰り広げられる世界観とストーリーはゆったり流れていて呼吸を忘れるほどに魅せられます。
座敷童子の存在が善か悪かは分かりません。
良い悪いでは退魔の剣は抜けないのならば関係ないのでしょう。
あの剣が多くの赤子の、母親の思いを長い呪縛から解き放ったのかもしれません。
どんな解釈をするのか任せてくれるラストなので好きに考えてます。
消えてしまう存在になったとしてもそうではなくても、座敷童子の最後の笑顔は心に残ります。
テンポがいい作品も一話にぎゅぎゅっと詰まっていて好きだけど、モノノ怪は流れる時間が酷くゆっくりに感じられて、世界と時間に酔える。
目に見えないモノノ怪を相手に命の危機が迫っているのに薬売りさんの言葉、セリフの間の使い方が絶妙で最高に心を掴みます。
見たいシーンがありすぎて、最後まで見終わっても何度もループしてみたくなる魅力が詰まっています。
ホラーアニメですし、流血表現があります。好き嫌いが分かれるかもしれません。
極彩色で繰り広げられる世界観とストーリーはゆったり流れていて呼吸を忘れるほどに魅せられます。
座敷童子の存在が善か悪かは分かりません。
良い悪いでは退魔の剣は抜けないのならば関係ないのでしょう。
あの剣が多くの赤子の、母親の思いを長い呪縛から解き放ったのかもしれません。
どんな解釈をするのか任せてくれるラストなので好きに考えてます。
消えてしまう存在になったとしてもそうではなくても、座敷童子の最後の笑顔は心に残ります。
匣の中の失楽 (講談社ノベルス)
生涯ベスト1の作品。僕の読書生活のイデアで、今も本を読み続けているのは、もう一度この作品を読んだ時の体験を味わいたいからだと言っても過言ではないです(なんて書く時はたいてい言い過ぎてますが)。
ストーリーを説明するのは難しい(と言うか意味がない)作品で、大学のサークル内で起こった殺人事件を、サークルのメンバーが調査したり議論したりするという本格ミステリ的なストーリーですが、通常の意味でのミステリ的な解決には主眼はないです。この作品の凄さは全篇に満ちている空気感で、それは言葉で表すのは難しいけど、あえて言うなら現実崩壊感となるでしょうか。読み進めていくと僕たちが確固たると思っている「現実」が実はとても曖昧で、すぐにでも壊れてしまうものなんじゃないか、さらにはいや最初から「現実」なんてものは存在しないんじゃないかという風に感じられて、強烈な眩暈感があります。京極夏彦の作品から受ける感覚に少し近いんですが、京極夏彦があくまでロジカルに現実崩壊感を導き出すのに対して、竹本健治はその文章の力で、感覚的、生理的な部分で実崩壊感を突きつけてきます。この感覚は「竹本印」と言っていいくらいに独特で、かつ竹本作品には(濃い薄いはあっても)普遍的に存在するものだと思います。この感覚を味わったことで、ものすごく深いところで世界観が変ったように感じます(それが良いのかはまた別ですが)。
この眩暈感は体験しないとわからないので、未読の方はぜひ御一読を。またこの作品が気に入った人は他作品も読んでみてください。同じような匂いのある作品としては、京極夏彦「魍魎の匣」、津原泰水「ペニス」、山口雅也「奇偶」、グレッグ・イーガン「祈りの海」などがあります。
ストーリーを説明するのは難しい(と言うか意味がない)作品で、大学のサークル内で起こった殺人事件を、サークルのメンバーが調査したり議論したりするという本格ミステリ的なストーリーですが、通常の意味でのミステリ的な解決には主眼はないです。この作品の凄さは全篇に満ちている空気感で、それは言葉で表すのは難しいけど、あえて言うなら現実崩壊感となるでしょうか。読み進めていくと僕たちが確固たると思っている「現実」が実はとても曖昧で、すぐにでも壊れてしまうものなんじゃないか、さらにはいや最初から「現実」なんてものは存在しないんじゃないかという風に感じられて、強烈な眩暈感があります。京極夏彦の作品から受ける感覚に少し近いんですが、京極夏彦があくまでロジカルに現実崩壊感を導き出すのに対して、竹本健治はその文章の力で、感覚的、生理的な部分で実崩壊感を突きつけてきます。この感覚は「竹本印」と言っていいくらいに独特で、かつ竹本作品には(濃い薄いはあっても)普遍的に存在するものだと思います。この感覚を味わったことで、ものすごく深いところで世界観が変ったように感じます(それが良いのかはまた別ですが)。
この眩暈感は体験しないとわからないので、未読の方はぜひ御一読を。またこの作品が気に入った人は他作品も読んでみてください。同じような匂いのある作品としては、京極夏彦「魍魎の匣」、津原泰水「ペニス」、山口雅也「奇偶」、グレッグ・イーガン「祈りの海」などがあります。