三つ首塔<名探偵・金田一耕助シリーズ> [VHS]
宮本音禰の一人称で書かれている原作が大幅に…否、全くといっていい程変えられている。登場人物の名前だけが使われていて、原作では美少年の女たらし古阪史郎が不細工な巡査岡本信人の役名に使われている。
獄門島【リマスター版】 [DVD]
「TVの金田一耕助といえば古谷一行」を決定付け、今でもファンの多い横溝正史シリーズ(1977年~)。そのシリーズの中でも最高傑作との評価を長く保ってきたのがこの作品です。日本の推理小説の最高傑作といわれる原作に、実相寺昭雄や六鹿英雄といった監督によって我々の印象に残る70年代的な前衛映像が上塗りされ、恐ろしく異様でありながら胸にしみる怪異な作品が誕生しました。監督の斉藤光正氏はこの功績によって劇場映画「悪魔が来りて笛を吹く」に抜擢されたという伝説を残しています。
いまとなっては奇策とも見える演出にもかかわらず作品に重厚な印象を与えているのは俳優陣の実力でしょう。前進座の名優・中村翫右衛門の存在感は圧倒的であり、滝沢修から金子信夫、有島一郎まで隙がありません。島村佳江の可憐さは話の脚色を越えて最も原作に近いヒロイン像を残してくれています。花子役を演じた萩奈緒美さんは我々の世代には戦隊ヒーロー「バトルフィーバーJ」が思い出深いのですが、この作品における存在感は圧巻で、全編にわたって作品の顔となっており「死体になってからのほうが美しくて惚れた」というファンまでいるほど。大河ドラマ「草燃える」で印象に残る立枝歩さんの雪江も見せ場をもらっていて美しい。角野卓三のチョイ役が笑えたりします。しいて言えば原作の「因習に閉ざされた社会の人間関係」はすっかり影が薄めており、重要人物である浜木綿子などは完全に近代的都会人のメンタリティになっているのが違和感を感じさせる部分かもしれません。しかしそれらを覆い尽くす魅力ある怪作。ロケに参加したスタッフたちは不眠不休の激務を強いられたそうですが、その労苦は今でも語られる映像を残してくれたと言えるでしょう。ぜひ御覧下さい。
いまとなっては奇策とも見える演出にもかかわらず作品に重厚な印象を与えているのは俳優陣の実力でしょう。前進座の名優・中村翫右衛門の存在感は圧倒的であり、滝沢修から金子信夫、有島一郎まで隙がありません。島村佳江の可憐さは話の脚色を越えて最も原作に近いヒロイン像を残してくれています。花子役を演じた萩奈緒美さんは我々の世代には戦隊ヒーロー「バトルフィーバーJ」が思い出深いのですが、この作品における存在感は圧巻で、全編にわたって作品の顔となっており「死体になってからのほうが美しくて惚れた」というファンまでいるほど。大河ドラマ「草燃える」で印象に残る立枝歩さんの雪江も見せ場をもらっていて美しい。角野卓三のチョイ役が笑えたりします。しいて言えば原作の「因習に閉ざされた社会の人間関係」はすっかり影が薄めており、重要人物である浜木綿子などは完全に近代的都会人のメンタリティになっているのが違和感を感じさせる部分かもしれません。しかしそれらを覆い尽くす魅力ある怪作。ロケに参加したスタッフたちは不眠不休の激務を強いられたそうですが、その労苦は今でも語られる映像を残してくれたと言えるでしょう。ぜひ御覧下さい。
清水邦夫〈2〉 雨の夏、三十人のジュリエットが還ってきた/エレジー (ハヤカワ演劇文庫21)
タイトルを見れば、その下敷きは悲恋物語の金字塔「ロミオとジュリエット」と知れよう。ただここには三十人ものジュリエットが還ってくるのだ。戦火にその舞台を奪われた女優たち、そして彼女らを騎士の如く支え続ける老いた男たち。誰もが夢見たロミオとジュリエットは「光」を取り戻せるか。もう一篇は老兄弟、死んだ息子の妻と姉、もう一人の男をして物語は進む。誰と誰との関係も、程よい密度とそれに見合った不思議な暖かさをもって描かれていくが、「エレジー」が最後に確かな痛みを運ぶ。幻の踏み切りの上を糸の切れた凧が飛んでいく・・・。
金田一耕助TVシリーズ 真珠郎 [DVD]
謎の美少年真珠郎が引き起こす連続殺人事件のドラマです。
本来なら探偵は金田一さんとは別の方が登場するお話なのですが
当時存命中だった作者の許可を得て金田一氏を登場させたのこと。
脚本の妙で違和感はまったくなくむしろ事件の悲劇性の解説者の一人として
十二分に働き、非常に魅力的に描かれています。
内容はみてのお楽しみですが各登場人物の言動の伏線の張り方は見事で
最後の最後、事件解決時に出来事がピタリと決まる素晴らしさ。
繰り返し見ればこれもあれも事件の複線かと気付くシーンが満載の作品です。
もうキャスティングからして謎解きの一つになっています。
金田一含め一癖も二癖もある登場人物の中で純粋さを最後まで失わない
事件の中心人物、椎名くんの悲劇性が胸に詰まります。
人間の心は計算では計れないという悲劇。
時代設定は戦後ですが原作(時代設定が2・26事件あたり)の影響からか
画面から非常にレトロな雰囲気が漂っています。
作品の内容上、おそらく原作どおりの展開は現在の放送倫理上
今後作られることは無いでしょう。
興味を持たれた方は是非ごらんになってください。
本来なら探偵は金田一さんとは別の方が登場するお話なのですが
当時存命中だった作者の許可を得て金田一氏を登場させたのこと。
脚本の妙で違和感はまったくなくむしろ事件の悲劇性の解説者の一人として
十二分に働き、非常に魅力的に描かれています。
内容はみてのお楽しみですが各登場人物の言動の伏線の張り方は見事で
最後の最後、事件解決時に出来事がピタリと決まる素晴らしさ。
繰り返し見ればこれもあれも事件の複線かと気付くシーンが満載の作品です。
もうキャスティングからして謎解きの一つになっています。
金田一含め一癖も二癖もある登場人物の中で純粋さを最後まで失わない
事件の中心人物、椎名くんの悲劇性が胸に詰まります。
人間の心は計算では計れないという悲劇。
時代設定は戦後ですが原作(時代設定が2・26事件あたり)の影響からか
画面から非常にレトロな雰囲気が漂っています。
作品の内容上、おそらく原作どおりの展開は現在の放送倫理上
今後作られることは無いでしょう。
興味を持たれた方は是非ごらんになってください。