Mystic River
何と救われない話だろうか。
結局、子供時代の3人の立場がそのまま残った結末を迎えてしまう。
アメリカ社会というのはチャンスすら平等に与えられていない社会なのだろうか。
作者はそれを糾弾したいのか。そうじゃないよね。
平等なんて言いながら、成功するのはごく僅かな者だけなんだよ。
成功者のペドロ・マルチネスの投球はそのことの象徴に見える。
多くの者は底辺をのたうち回って、浮上することはない。決して。
それをわきまえないヤツはデイヴのようになる。
ある種のブラックユーモアすら感じさせるシニシズム。そうだろう?
ケイティが殺された夜にデイヴがあんな事に遭遇するなんて。
ミステリーじゃないよ。これは。現代の寓話だ。
そして、あまりに悲しい。
英語は比較的平易と思うが、無駄にbig wordsが多い気もする。
結局、子供時代の3人の立場がそのまま残った結末を迎えてしまう。
アメリカ社会というのはチャンスすら平等に与えられていない社会なのだろうか。
作者はそれを糾弾したいのか。そうじゃないよね。
平等なんて言いながら、成功するのはごく僅かな者だけなんだよ。
成功者のペドロ・マルチネスの投球はそのことの象徴に見える。
多くの者は底辺をのたうち回って、浮上することはない。決して。
それをわきまえないヤツはデイヴのようになる。
ある種のブラックユーモアすら感じさせるシニシズム。そうだろう?
ケイティが殺された夜にデイヴがあんな事に遭遇するなんて。
ミステリーじゃないよ。これは。現代の寓話だ。
そして、あまりに悲しい。
英語は比較的平易と思うが、無駄にbig wordsが多い気もする。
ミスティック・リバー [DVD]
「許されざる者」には、一種の爽快感があった。とはいえ、何を主張したかったのかという点で、一種の曖昧感を味わったのを記憶している。その意味では、「ミスティック・リバー」は、結末/結論を観客に委ねた点で「究極」のエンディングであったとも云える。
確かに、エンディングは何ともやりきれない。刑事も、娘を殺された男も、真実に頬被りを決め込んでしまうのか、と思わせるかのようである。これでは、Daveは浮かばれない。正義は無いのか!? 強者の論理で済んでしまうのか? あんまりだ!
2枚組の特別版、DVDでは珍しくないが、この映画に限っていえば、2枚目のオマケは必見である。これを観れば、本編のやるせなさは解消できることを90%?保障しましょう。
2枚目を観た上で、私は確信する:人生は不条理なものかもしれない。しかし、それを越えて行くには、一人一人の力強い意思が必要なのだ。確かに、この映画のエンディングを常識的に観れば、90%?「真実に頬被り」で終わってしまう物語だ。だが、監督は、残りの10%?の可能性を観客に委ねたのだ。クリント●イーストウッドは、この映画でアカデミー監督賞を貰っていないが、そのこと自体に意味は無い。イーストウッドが傑出した映画監督であることに疑問の余地は無い。多くの人がそれを認めるだろう。この映画で監督賞を貰わなかったことは不条理だろうか? ちなみに、イーストウッドは「許されざる者」で既に監督賞を貰っている。そして、「ミスティック・リバー」は「許されざる者」以上の傑作なのだ。
このレビューのオマケ:2枚目に入っている予告編なんかを観ていると、本編の何処に出ていたか思い出せないコテッジ(cottage)が出てくるのだが、これを観ていて、トム●クルーズ主演の「マイノリティー●リポート」を思い出した。やり切れない不条理を描いた点では同様の映画なので、もしかしたら、イーストウッドは「マイノリティー●リポート」のオマージュとして、このコテッジ(cottage)を入れたのかも?誰か、この辺りの事情を知っていますか?
確かに、エンディングは何ともやりきれない。刑事も、娘を殺された男も、真実に頬被りを決め込んでしまうのか、と思わせるかのようである。これでは、Daveは浮かばれない。正義は無いのか!? 強者の論理で済んでしまうのか? あんまりだ!
2枚組の特別版、DVDでは珍しくないが、この映画に限っていえば、2枚目のオマケは必見である。これを観れば、本編のやるせなさは解消できることを90%?保障しましょう。
2枚目を観た上で、私は確信する:人生は不条理なものかもしれない。しかし、それを越えて行くには、一人一人の力強い意思が必要なのだ。確かに、この映画のエンディングを常識的に観れば、90%?「真実に頬被り」で終わってしまう物語だ。だが、監督は、残りの10%?の可能性を観客に委ねたのだ。クリント●イーストウッドは、この映画でアカデミー監督賞を貰っていないが、そのこと自体に意味は無い。イーストウッドが傑出した映画監督であることに疑問の余地は無い。多くの人がそれを認めるだろう。この映画で監督賞を貰わなかったことは不条理だろうか? ちなみに、イーストウッドは「許されざる者」で既に監督賞を貰っている。そして、「ミスティック・リバー」は「許されざる者」以上の傑作なのだ。
このレビューのオマケ:2枚目に入っている予告編なんかを観ていると、本編の何処に出ていたか思い出せないコテッジ(cottage)が出てくるのだが、これを観ていて、トム●クルーズ主演の「マイノリティー●リポート」を思い出した。やり切れない不条理を描いた点では同様の映画なので、もしかしたら、イーストウッドは「マイノリティー●リポート」のオマージュとして、このコテッジ(cottage)を入れたのかも?誰か、この辺りの事情を知っていますか?
ミスティック・リバー [Blu-ray]
ほかの皆さんの書き込みを読んで、とても驚きました。僕の感想とは全く正反対のことが書いてあったので、正直、映画の見方を間違ったのかと不安になっています。
僕は、紛れもなく素晴らしい映画だと思っています。ひょっとしたらとんでもない勘違いをしているのでしょうか?
実は僕はDVDは買っていないのです。この映画が嫌いな人は「ほれ見たことか」と仰るかもしれません。でも、僕が買わない理由は、あの圧倒的な哀しさを何度も味わう勇気がないからです。だから記憶の中で何度も再上映をしています。そして、いつかは買いたいと思っている作品でもあります。
ネタバレをしないように気を付けますが、この映画が「強い者は強く、弱い者は弱い」というテーマを描いているのだとは思えません。むしろ、強い者がその力を発揮して復讐を行ったが、それは全く意味のない行為だったという逆の意味を持っているのではないでしょうか。
あまり映画と時代を結びつけるのは好きではありませんが、イラク戦争反対の映画、と読むことも可能ではないかと思います。復讐の無意味さ、というものをこれほど残酷に示したものはないでしょう。そういう意味では「許されざる者」と共通のテーマを持っているのだと考えます。
後味が悪い、というのは全く同感ですが、それは作品のクォリティが低いという意味ではないと思います。むしろ、もう涙も出せないぐらいに哀しい、ということでしょう。何といっても、この映画の主人公の行動は一貫して無意味なのですから、これほど身も蓋もない物語はないはずです。身を切られるような辛さは、そのまま観客の感想でもあるはずです。正視に耐えないほど哀しいという感覚は、正直言ってDVDを購入して何度も味わいたいという感想からはほど遠いと思います。ですが、それが作品の否定にはつながらないと思います。これほどまでに美しい哀しさをたたえた映画は稀でしょう。僕は傑作だと信じます。
皆さんのご意見を拝読して、「許されざる者」がそれほど人気がなかったことを思いだしました。意地悪な見方をすれば、僕ら日本人は悲しいお話が涙につながれば感動するのに、それが哀しさのまま持続し、ある意味で劇的なカタルシスにつながらないで静止したままの時、あまり喜ばないのかもしれません。確かに分かりやすい見せ場はなく、ひたすら重い映画でもありますが、その静謐さに感動してほしいと願います。
僕は、紛れもなく素晴らしい映画だと思っています。ひょっとしたらとんでもない勘違いをしているのでしょうか?
実は僕はDVDは買っていないのです。この映画が嫌いな人は「ほれ見たことか」と仰るかもしれません。でも、僕が買わない理由は、あの圧倒的な哀しさを何度も味わう勇気がないからです。だから記憶の中で何度も再上映をしています。そして、いつかは買いたいと思っている作品でもあります。
ネタバレをしないように気を付けますが、この映画が「強い者は強く、弱い者は弱い」というテーマを描いているのだとは思えません。むしろ、強い者がその力を発揮して復讐を行ったが、それは全く意味のない行為だったという逆の意味を持っているのではないでしょうか。
あまり映画と時代を結びつけるのは好きではありませんが、イラク戦争反対の映画、と読むことも可能ではないかと思います。復讐の無意味さ、というものをこれほど残酷に示したものはないでしょう。そういう意味では「許されざる者」と共通のテーマを持っているのだと考えます。
後味が悪い、というのは全く同感ですが、それは作品のクォリティが低いという意味ではないと思います。むしろ、もう涙も出せないぐらいに哀しい、ということでしょう。何といっても、この映画の主人公の行動は一貫して無意味なのですから、これほど身も蓋もない物語はないはずです。身を切られるような辛さは、そのまま観客の感想でもあるはずです。正視に耐えないほど哀しいという感覚は、正直言ってDVDを購入して何度も味わいたいという感想からはほど遠いと思います。ですが、それが作品の否定にはつながらないと思います。これほどまでに美しい哀しさをたたえた映画は稀でしょう。僕は傑作だと信じます。
皆さんのご意見を拝読して、「許されざる者」がそれほど人気がなかったことを思いだしました。意地悪な見方をすれば、僕ら日本人は悲しいお話が涙につながれば感動するのに、それが哀しさのまま持続し、ある意味で劇的なカタルシスにつながらないで静止したままの時、あまり喜ばないのかもしれません。確かに分かりやすい見せ場はなく、ひたすら重い映画でもありますが、その静謐さに感動してほしいと願います。
ミスティック・リバー (ハヤカワ・ミステリ文庫)
’03年に、クリント・イーストウッド製作・監督・音楽によって映画化され、アカデミー賞で主演男優賞:ショーン・ペン、助演男優賞:ティム・ロビンスと、主要2部門でオスカーを受賞した。
’01年、「週刊文春ミステリーベスト10」海外部門第2位、「このミステリーがすごい!」海外編第10位にランクインして、さらに’02年度のアンソニー賞のベスト・ノヴェルにも選ばれたデニス・ルヘインの代表作である。
ボストンの貧困地区。ジミー、デイブ、ショーンの3人組が路上で遊んでいると、不審な車が少年たちの傍に停まる。警官を名乗る2人連れは、3人の内からデイブだけを車に乗せ、静かに走り去った。四日後、デイブは帰ってきたが、心と体に大きな傷を負っていた。
それから25年後、同地区で殺人事件が発生。被害者はジミーの娘だった。捜査を担当するのは、今は刑事となったショーン。やがて捜査線上にデイブの名が浮かぶ。事件は3人の過去を弄ぶようにして、非情な物語を導いてゆく・・・。
幼なじみだった3人の男の物語を、ひとりは被害者の父親、ひとりは捜査する側の刑事、そしてもうひとりは容疑者として、重厚なタッチで描くミステリーだ。本書には謎解きのスリルも用意されているが、ストーリーとしては、登場人物たちの心象を見つめることに主眼が置かれている。彼らの心に渦巻く家族への愛憎、日常への苛立ち、癒せぬ過去。これらの均衡が崩れたとき、人間はいかに愚かな存在となるか・・・。
人生には辛いことや哀しいことがたくさんあり、しかも正しいことが何なのかも分からない。指針はどこにもない。その真実を本書は鮮烈に描き出している。
’01年、「週刊文春ミステリーベスト10」海外部門第2位、「このミステリーがすごい!」海外編第10位にランクインして、さらに’02年度のアンソニー賞のベスト・ノヴェルにも選ばれたデニス・ルヘインの代表作である。
ボストンの貧困地区。ジミー、デイブ、ショーンの3人組が路上で遊んでいると、不審な車が少年たちの傍に停まる。警官を名乗る2人連れは、3人の内からデイブだけを車に乗せ、静かに走り去った。四日後、デイブは帰ってきたが、心と体に大きな傷を負っていた。
それから25年後、同地区で殺人事件が発生。被害者はジミーの娘だった。捜査を担当するのは、今は刑事となったショーン。やがて捜査線上にデイブの名が浮かぶ。事件は3人の過去を弄ぶようにして、非情な物語を導いてゆく・・・。
幼なじみだった3人の男の物語を、ひとりは被害者の父親、ひとりは捜査する側の刑事、そしてもうひとりは容疑者として、重厚なタッチで描くミステリーだ。本書には謎解きのスリルも用意されているが、ストーリーとしては、登場人物たちの心象を見つめることに主眼が置かれている。彼らの心に渦巻く家族への愛憎、日常への苛立ち、癒せぬ過去。これらの均衡が崩れたとき、人間はいかに愚かな存在となるか・・・。
人生には辛いことや哀しいことがたくさんあり、しかも正しいことが何なのかも分からない。指針はどこにもない。その真実を本書は鮮烈に描き出している。
ミスティック・リバー (ハヤカワ・ノヴェルズ)
11歳のショーン、ディブ、ジミーは遊び友達だが、その時、3人は路上で喧嘩をしていた。そして、ショーンと殴り合っていたディブが警官を装った2人組に車で連れ去られるのだが・・・。
本格推理小説としても読めるが、謎解きがメインではない。現代ミステリシーンで犯人は誰かと云われても、少なくとも私はあまり興味がない。やはり内容、それも言葉の一つ一つに心に染み入るものがなければならない。まさしく本書はその言葉に何度も立ち止まってしまった。
本格推理小説としても読めるが、謎解きがメインではない。現代ミステリシーンで犯人は誰かと云われても、少なくとも私はあまり興味がない。やはり内容、それも言葉の一つ一つに心に染み入るものがなければならない。まさしく本書はその言葉に何度も立ち止まってしまった。