NHK大河ドラマ 毛利元就 完全版 DVD-BOX 第壱集
序盤、なかなかのめりこめなかった。主人公を取り囲む杉の方(松坂慶子)、井上元兼(片岡鶴太郎)らがナンなのかよく理解できなくて。やはり主人公が自分の力で局面に働きかけるようになってから本格的におもしろくなり、先ほどの二人のキャラの意味とかが分かってきて全体に、回っていく感じがし始めます。序盤から元就の人間観察力というか心理を読む力が毛利家の危機を何度となく救い、後半のチョウリャクへとエスカレートしていきます。尼子の二人(緒方拳と高嶋政宏)は全編通じて際立って魅力的でした。私は元就の知識に乏しくそれでも1555年に厳島の戦いで陶氏を滅ぼしたことだけは、知っていましたから年号がでるたびにあと何年だけど毛利はまだこんなに小さくて大丈夫か?と何度も思いました。毛利が大きくなったのは元就で言えば驚くほど晩年なんですね。尼子襲来の辺りからはらはらどきどきで、美伊の方や、水軍の二人(葉月里緒菜の加芽、的場浩司の野田次郎)の存在など史実を追うだけでないドラマとしての魅力をかもし出しています。後半の後半は登場人物もかなり入れ替わり雰囲気が変わります。私としては、へんてこな最終回を含め最後の辺りはちょっと好きでないかなと。元就がふけすぎて見ていてつかれちゃいますね。まあ、み始めてしまえば最後まで見てしまいますよ。最後の辺りの楽しみは輝元の活躍と山中鹿助でしょうか?面白いです。
炎環 (文春文庫)
本書は1964年に刊行された作品です。
4つの短編が1つの作品を作り上げる手法で、流人・頼朝の挙兵から承久の乱辺りまでを描いています。
まず「悪禅師」では、頼朝の異母弟で義経の同母兄の阿野全成の視点で、
次の「黒雪賦」では、讒言などで悪人とされる梶原景時の視点で、
次の「いもうと」では、北条政子の同母妹で阿野全成の正室・阿波局の視点で、
最期の「覇樹」では、鎌倉幕府2代執権・北条義時の視点で描かれています。
頼朝、政子、頼家、実朝、公暁、北条時政と牧の方、比企氏、畠山氏、和田氏など
幕府草創期の複雑な権勢の関係も組み込まれており、それぞれが抱く野望がメラメラと燃え上がって
1つの環となった本作は、読み応え十分な作品です。
特に、蘇我氏のように正史で悪しざまに描かれる梶原景時の人物像は興味深く、
また、阿波局の人物像も秀逸でした。
たくさんの方々に読んでいただきたい一冊です。
4つの短編が1つの作品を作り上げる手法で、流人・頼朝の挙兵から承久の乱辺りまでを描いています。
まず「悪禅師」では、頼朝の異母弟で義経の同母兄の阿野全成の視点で、
次の「黒雪賦」では、讒言などで悪人とされる梶原景時の視点で、
次の「いもうと」では、北条政子の同母妹で阿野全成の正室・阿波局の視点で、
最期の「覇樹」では、鎌倉幕府2代執権・北条義時の視点で描かれています。
頼朝、政子、頼家、実朝、公暁、北条時政と牧の方、比企氏、畠山氏、和田氏など
幕府草創期の複雑な権勢の関係も組み込まれており、それぞれが抱く野望がメラメラと燃え上がって
1つの環となった本作は、読み応え十分な作品です。
特に、蘇我氏のように正史で悪しざまに描かれる梶原景時の人物像は興味深く、
また、阿波局の人物像も秀逸でした。
たくさんの方々に読んでいただきたい一冊です。
北条政子 (文春文庫)
本書は、21歳から実朝の暗殺までの北条政子を描いた小説です。
本書を読む前に文春文庫の「炎環」、中公文庫の「源頼朝の世界」を読み、
先の二作との史観が若干異なるような気がして違和感を覚えたのですが、
永井ワールドを存分に味わえました。
頼朝の挙兵、娘・大姫と木曽義高、静御前との対面、曾我兄弟の仇討に隠された叛乱、
大姫入内工作と頼朝の死因、頼家の狂気、比企家の滅亡と頼家の死、実朝暗殺に関わる三浦一族などから
政子の激しい内面を描いています。
ただ、実朝の繊細な人物像とは対照的に、頼家を悪しざまに描いているような気がして腑に落ちませんでした。
また、承久の乱までは描いて頂きたかったものです。
しかしながら、永井氏が描く政子の人物像は興味深く、多くの方に読んでいただきたい1冊です。
本書を読む前に文春文庫の「炎環」、中公文庫の「源頼朝の世界」を読み、
先の二作との史観が若干異なるような気がして違和感を覚えたのですが、
永井ワールドを存分に味わえました。
頼朝の挙兵、娘・大姫と木曽義高、静御前との対面、曾我兄弟の仇討に隠された叛乱、
大姫入内工作と頼朝の死因、頼家の狂気、比企家の滅亡と頼家の死、実朝暗殺に関わる三浦一族などから
政子の激しい内面を描いています。
ただ、実朝の繊細な人物像とは対照的に、頼家を悪しざまに描いているような気がして腑に落ちませんでした。
また、承久の乱までは描いて頂きたかったものです。
しかしながら、永井氏が描く政子の人物像は興味深く、多くの方に読んでいただきたい1冊です。
美貌の女帝 (文春文庫)
この本は、私にとって魂の救済の書だった。
素晴らしい美貌、最高の血筋、しかし主人公は苦労のしどおしである。
男性の庇護を受け、楚々と生きていきたいだろうに、期待をかけて育てた後継候補は、どんどん死んでしまう。そうなると、結局は自分がやるしかない。
何かそこに、人は自分の人生からは逃れられないんだから、どんな失意の中にあっても生きていくしかないんだという、諦めとも開き直りとも覚悟ともいえる力を感じるのである。
誰しも生まれてきた役割があるという。ときにその役割は、苦しすぎるものと感じられるかもしれない。しかもその苦しさは、歴史の中のほんの小さな点にすぎないのだ。しかし、天皇であろうが庶民であろうが、「そのとき」が来たら役割を果たさねばならないのだ。
素晴らしい美貌、最高の血筋、しかし主人公は苦労のしどおしである。
男性の庇護を受け、楚々と生きていきたいだろうに、期待をかけて育てた後継候補は、どんどん死んでしまう。そうなると、結局は自分がやるしかない。
何かそこに、人は自分の人生からは逃れられないんだから、どんな失意の中にあっても生きていくしかないんだという、諦めとも開き直りとも覚悟ともいえる力を感じるのである。
誰しも生まれてきた役割があるという。ときにその役割は、苦しすぎるものと感じられるかもしれない。しかもその苦しさは、歴史の中のほんの小さな点にすぎないのだ。しかし、天皇であろうが庶民であろうが、「そのとき」が来たら役割を果たさねばならないのだ。