<ススキノ
探偵>シリーズの第2作である本作品は、1993年発表。
2011年公開の映画「
探偵はBARにいる」の原作でもあります(映画は未見)。
ススキノの便利屋である<俺>がいつものように【ケラー・オオハタ】で飲んでいると、コンドウキョウコと名乗る見知らぬ人物から電話があった。
依頼内容は、指定した会社を訪ね、ある人物のことを聞いてほしいというもの。
請け負った<俺>は、その会社を訪ねたあと、命を狙われるはめに…。
巻頭の登場人物覧には、【コンドウキョウコ……俺の依頼人】という表記とともに、【近藤京子……スナック経営者】とあり、電話の人物が本当の近藤京子でないことが示唆されていますが、物語の早い段階で、本物の近藤京子は、放火事件で死亡していたことが判明します。
本作品は、この「コンドウキョウコ」の正体は?
という謎が物語を貫き、前作よりも「謎解きの要素」を感じさせる作品になっています。
この謎の真相は、本格ミステリのようなどんでん返し的なものではありませんが、ストーリーとよく馴染んでおり、完成度は高いと思われます。
本シリーズの特徴である、ハードボイルドなのに、ちょっとコミカルな味付けという作風も本作品でますます顕著になってきているようです。
謎の人物からの不可解な依頼を受けてしまうのも、「美人そうな相手だから」という不穏な動機で、なかなか面白い。
夜はバーに入り浸る<俺>が、朝食を摂る行きつけの喫茶店で、必ずウイスキーのストレートを頼むというのも、本作品で明確に。
今回は、夜バーで飲んでいる途中、明日を気にして早めに切り上げる、という場面もありますが、「快調に飲みまくって、事件に立ち向かっていきます」。
ススキノの町を駆け回る<俺>に、またもや酔いしれることができた本作品。
今回はある地域に<俺>が出張しますが、作品の設定である1980年代初頭には、まだ北海道の「観光名所」ではなかったとのことで、興味深かったです。