邦題からは、本作が至極真っ当な戦争映画であるかのように窺えるが、実際には、ジョージ・パットン将軍の北アフリカでの第2軍団司令官への着任から、1945年10月の第15軍司令官への異動までを描いた伝記映画である(実際、原題も「Patton」というシンプルなものである)。監督は、寡作ながら「
ブラジルから来た少年」などの良質な作品を作り続けた名匠フランクリン・J・シャフナー。
タイトルロールを演じたのは、本作での演技で
アカデミー賞主演男優賞を受賞したものの、それを固辞した硬骨の人ジョージ・C・スコット。脚本はフランシス・フォード・コッポラとエドマンド・H・ノースが担当。音楽は「シャフナーとマイクル・クライトンの作品なら無条件で引き受ける」と公言していたジェリー・ゴールドスミスが手掛けた。
本作は、作品的にも興行的にも成功を収め、第43回
アカデミー賞では作品賞を含む9部門でノミネートされ、作品賞など7部門で受賞を果たした。しかし、映画製作の前には、パットンサイドとの間でいざこざが起こった。パットン家は家族の出演を望んだ。しかし製作サイドが一家を訪問したのは、パットンの未亡人の葬儀の直後だった。その後、家族は映画化への協力を頑なに拒絶した。そのためコッポラとノースはパットンに関する2冊の伝記から脚本を執筆した。
また、オープニングのモノローグは、1944年6月5日、ノルマンディー上陸作戦に先立って行われたスピーチを元にした物であったが、実際のスピーチには多くの不敬表現が含まれており(パットンは常日頃から口が悪いことで有名だった)、映画ではそのような表現の大部分は排除されるか、より穏やかな表現に置き換えられた。ちなみに、ジョージ・C・スコットが同じくパットンを演じた続編「パットン将軍最後の日々」という作品も作られた。