剣嵐の大地〈2〉 (氷と炎の歌 3)
翻訳岡部氏の言葉の的確な選択と、会話文の巧みな描き分けが この長編を読ませて眠らせない物語にしている。家人の叱責を受けながら、朝方まで読みきり、朝になってもティリオンの言葉を、登場人物の前途を頭の中で反芻してしまう。
作者マーティン氏は一体どんな人物なのだろうか・・・と、考えずにはいられない。さまざまな人を受け入れ付き合う度量があるのだろうと推測してみたり・・・
人が目を背けてしまう醜さの側面にあるどうしようもない純粋さ、、思わず寄って踏み潰してしまう一瞬の美しさとその裏の残酷さ・・・読んでいる最中は物語に引き込まれて、現実と対象して考えられないが、しばらく後に、ふと自分に置き換えて考えてしまう。
世の中の残酷さも汚物も猥雑も描ききっているのに、中学生のときに読みたかった、と思ってしまう。
きれいはきたない、きたないはきれい、そんな言葉が理解できる気がする。
作者マーティン氏は一体どんな人物なのだろうか・・・と、考えずにはいられない。さまざまな人を受け入れ付き合う度量があるのだろうと推測してみたり・・・
人が目を背けてしまう醜さの側面にあるどうしようもない純粋さ、、思わず寄って踏み潰してしまう一瞬の美しさとその裏の残酷さ・・・読んでいる最中は物語に引き込まれて、現実と対象して考えられないが、しばらく後に、ふと自分に置き換えて考えてしまう。
世の中の残酷さも汚物も猥雑も描ききっているのに、中学生のときに読みたかった、と思ってしまう。
きれいはきたない、きたないはきれい、そんな言葉が理解できる気がする。
大地のうた 《IVC BEST SELECTION》 [DVD]
題名は非常に牧歌的だし、実際に映し出されるインドの農村風景もやはり
牧歌的と言うほかないようなものだが、話のほうは案外シビアだったというか、
盗癖のある娘、口うるさい母親、インテリで生活力のない父親、耄碌した
居候の老婆等々が、一見卑近なドタバタを繰り広げているようでありながら、
貧困の苦しさや死別の悲しみもきちんと描かれている、そんな映画だった。
(個人的に好みかと言われればちょっと違うのだが。)
牧歌的と言うほかないようなものだが、話のほうは案外シビアだったというか、
盗癖のある娘、口うるさい母親、インテリで生活力のない父親、耄碌した
居候の老婆等々が、一見卑近なドタバタを繰り広げているようでありながら、
貧困の苦しさや死別の悲しみもきちんと描かれている、そんな映画だった。
(個人的に好みかと言われればちょっと違うのだが。)
大河のうた 《IVC BEST SELECTION》 [DVD]
インドのサタジット・レイ監督によるオプー三部作の第2作。
オプーのベナレスでの少年時代からカルカッタでの大学時代までを描いていますが、まずはベナレスの有名なヒンドゥー教の聖地であるガンジス河のガートを撮影したモノクロ映像が素晴らしい。
河を舟でゆっくりと下りながら沐浴する人々を撮っていますが、日常生活に密着したヒンドゥー教の姿がそのまま飾ることなしに撮影されています。
私自身、一度ここを観光旅行し、同じようにボートで河を下ったことがありますが、外国人が増えただけで、河、建物、牛、人々の姿・・ほとんどこれと同じでした。「悠久」とはこのことです。
ガンジス河流域の狭い住宅街での生活描写も見事で、たくさんの人間と動物が出てくる映像から生活の臭いがしてくるようです。
ドラマとしては、第1部「大地のうた」と第3部「大樹のうた」に挟まれた「つなぎ」みたいな感じもしますが、オプーが通う小学校や大学生活の描写に「大地のうた」では見られなかったユーモラスなところもあり、やはりインド芸術映画の佳作だと思います。
オプーのベナレスでの少年時代からカルカッタでの大学時代までを描いていますが、まずはベナレスの有名なヒンドゥー教の聖地であるガンジス河のガートを撮影したモノクロ映像が素晴らしい。
河を舟でゆっくりと下りながら沐浴する人々を撮っていますが、日常生活に密着したヒンドゥー教の姿がそのまま飾ることなしに撮影されています。
私自身、一度ここを観光旅行し、同じようにボートで河を下ったことがありますが、外国人が増えただけで、河、建物、牛、人々の姿・・ほとんどこれと同じでした。「悠久」とはこのことです。
ガンジス河流域の狭い住宅街での生活描写も見事で、たくさんの人間と動物が出てくる映像から生活の臭いがしてくるようです。
ドラマとしては、第1部「大地のうた」と第3部「大樹のうた」に挟まれた「つなぎ」みたいな感じもしますが、オプーが通う小学校や大学生活の描写に「大地のうた」では見られなかったユーモラスなところもあり、やはりインド芸術映画の佳作だと思います。
大地のうた
お気に入りです。この方のピアノには10年以上前にも友達のおすすめで出会っていました。
いいなと名前は覚えていましたが、何年もたち映画(落下する夕方)を見てこのピアノの曲がどうしても欲しいとかなり探してみつけたものです。ジャケットは地味で購入意欲・・・ジャケ買いにはなりにくいですけど、いいですよ。このほかにも何枚か西村さんのCDは聞きますがこれが一押し。
いいなと名前は覚えていましたが、何年もたち映画(落下する夕方)を見てこのピアノの曲がどうしても欲しいとかなり探してみつけたものです。ジャケットは地味で購入意欲・・・ジャケ買いにはなりにくいですけど、いいですよ。このほかにも何枚か西村さんのCDは聞きますがこれが一押し。
大地のうた [DVD]
ビットリオ・デ・シーカの『自転車泥棒』に
触発されて作られたという本作は、
20世紀の初め頃、
インドの西ベンガルにある寒村に住む
赤貧にあえぐ一家族の日常を、
ドキュメンタリータッチで淡々と描いていく。
『せめて1日2回の食事と、年に2着の服が買えたら』と
嘆く母親のささやかな希望には、
嘗て『清貧の思想』という本に群がった、
何不自由ない飽食の時代に生きる日本人に、
清貧が美徳だなんて戯言を言わせない重みがある。
本作の中核をなすのは、
主人公オプー少年の姉と伯母の死だ。
老いた伯母は、林の中で落ち葉のように枯死していき、
肺炎を患った姉は、風雨吹き荒れる嵐の夜に、
天の怒りを鎮めるための生贄の如く静かに息絶えた後、
姉は蜘蛛に、おばは蛇に生まれ変わって、
愛着の地で新たな命を得る。
サタジット・レイ監督は、輪廻転生と言う死生観を下地に、
生きとし生けるものの命の連なりを、
西ベンガルの自然を通して描くことで、
人を本来あるべき自然の中に回帰させる。
命が軽んじられ、形の見えなくなった死が蔓延する
現代社会の中で、生きる事の意味を見失った人に、
57年前に作られた本作をお薦めしたい。
触発されて作られたという本作は、
20世紀の初め頃、
インドの西ベンガルにある寒村に住む
赤貧にあえぐ一家族の日常を、
ドキュメンタリータッチで淡々と描いていく。
『せめて1日2回の食事と、年に2着の服が買えたら』と
嘆く母親のささやかな希望には、
嘗て『清貧の思想』という本に群がった、
何不自由ない飽食の時代に生きる日本人に、
清貧が美徳だなんて戯言を言わせない重みがある。
本作の中核をなすのは、
主人公オプー少年の姉と伯母の死だ。
老いた伯母は、林の中で落ち葉のように枯死していき、
肺炎を患った姉は、風雨吹き荒れる嵐の夜に、
天の怒りを鎮めるための生贄の如く静かに息絶えた後、
姉は蜘蛛に、おばは蛇に生まれ変わって、
愛着の地で新たな命を得る。
サタジット・レイ監督は、輪廻転生と言う死生観を下地に、
生きとし生けるものの命の連なりを、
西ベンガルの自然を通して描くことで、
人を本来あるべき自然の中に回帰させる。
命が軽んじられ、形の見えなくなった死が蔓延する
現代社会の中で、生きる事の意味を見失った人に、
57年前に作られた本作をお薦めしたい。