たば風に唄う―江差追分・青坂満
江差への愛に満ちた本といえる。
著者は、江差を代表するものの筆頭としてあげる江差追分をこよなく愛し、その江差追分の第一人者である青坂満師をその唄とその人となり含め全部愛している。
鴎島の景色に心を奪われ、千畳敷に立って波の音と潮風を呼吸しながら沈む夕陽を見つめる時、頭に中に静かに聴こえてくるのは江差追分であり、その唄声は青坂先生のものだ・・・。
そのまさに潮風のような歌声は、何ものにも変えられない素晴らしいものだ。
「波の色とか風の吹く色がつけば、自然といい唄になるのさ。(中略)風の音が尺八の音階と同じ色になる。追分は伴奏をつけず生で唄って聴くものだとわしは思っているんだ」
江差追分の魅力・・・私ごときに語る資格はまだないと思いつつ今思うのは、江差追分のあの音階は、あの節は、実は生まれながら日本人の音楽的遺伝子に組み込まれているものであり、聴く者の何かのタイミングやきっかけで、その遺伝子は発動し、やがて自然に聴く者の頭に鳴りながら、その心や人生の場面場面に現れて、静かだけど力強く感動とやすらぎと励ましをもたらすのである・・・。
私の江差追分遺伝子説、・・・まあまあご清聴ありがとうございました・・。
青坂満師の半生を丹念にたどる本書。
第6回江差追分全国大会で優勝するが、その直前に愛する妹の死があったというエピソードに涙した。
高田屋嘉兵衛の辰悦丸復元と自身が船頭になっての41日間二千五百キロの北前船紀行は、大変面白かった!
表紙をめくれば「江差屏風」が大きく登場し(背表紙も同様)、巻頭の青坂先生の写真の次に私の大好きな鴎島と江差港の空撮写真(昭和40年代後期)が見開きであり、続いてそれまでの人生における様々なスナップ写真が13ページにわたり掲載されている。
付録にCDが付いていて、21分2秒の収録時間に青坂先生の語りと、切り声・江差口説・古調追分・江差追分が収録されていて貴重。
青坂先生の本当に素朴で飾らない性格そのままの、語りの味わいは格別!
※このCDの拡大バージョンといえる「江差追分唄唄語り(改訂版)」〜青坂満・追分の本場を語る〜が追分会館で販売されています!
ひとりでも多くの人に、青坂満師を知ってもらいたいし、その唄を聴いて欲しいと思う。
この本はひとりの男への愛に満ちた素晴らしい評伝である。
目次
第一章 潮の匂いの青坂節
1.追分童子、2.追分修行、3.日本一へ挑戦、4.追分との葛藤、5.追分道場と追分セミナー、6.北前船の追分巡行、7.江差追分を後世につたえて
第二章 鼎談・人生というのは追分である 青坂満・木村香澄・松村隆
第三章 江差追分の歴史と曲譜
あとがき、参考文献、江差追分略年譜と青坂満経歴
以下個人的なことです。
今年9月、追分会館へおじゃまして、道場にて青坂先生とお会いすることが出来ました。目の前で、物凄い声量で唄っていただいた江差追分に圧倒され、先生の親しみ深いお話と語り口、飾らないお人柄が、なによりありがたく、嬉しく感じました。大好きな江差で、とても貴重な時間を過ごすことができ、感謝の気持ちでいっぱいです。
著者は、江差を代表するものの筆頭としてあげる江差追分をこよなく愛し、その江差追分の第一人者である青坂満師をその唄とその人となり含め全部愛している。
鴎島の景色に心を奪われ、千畳敷に立って波の音と潮風を呼吸しながら沈む夕陽を見つめる時、頭に中に静かに聴こえてくるのは江差追分であり、その唄声は青坂先生のものだ・・・。
そのまさに潮風のような歌声は、何ものにも変えられない素晴らしいものだ。
「波の色とか風の吹く色がつけば、自然といい唄になるのさ。(中略)風の音が尺八の音階と同じ色になる。追分は伴奏をつけず生で唄って聴くものだとわしは思っているんだ」
江差追分の魅力・・・私ごときに語る資格はまだないと思いつつ今思うのは、江差追分のあの音階は、あの節は、実は生まれながら日本人の音楽的遺伝子に組み込まれているものであり、聴く者の何かのタイミングやきっかけで、その遺伝子は発動し、やがて自然に聴く者の頭に鳴りながら、その心や人生の場面場面に現れて、静かだけど力強く感動とやすらぎと励ましをもたらすのである・・・。
私の江差追分遺伝子説、・・・まあまあご清聴ありがとうございました・・。
青坂満師の半生を丹念にたどる本書。
第6回江差追分全国大会で優勝するが、その直前に愛する妹の死があったというエピソードに涙した。
高田屋嘉兵衛の辰悦丸復元と自身が船頭になっての41日間二千五百キロの北前船紀行は、大変面白かった!
表紙をめくれば「江差屏風」が大きく登場し(背表紙も同様)、巻頭の青坂先生の写真の次に私の大好きな鴎島と江差港の空撮写真(昭和40年代後期)が見開きであり、続いてそれまでの人生における様々なスナップ写真が13ページにわたり掲載されている。
付録にCDが付いていて、21分2秒の収録時間に青坂先生の語りと、切り声・江差口説・古調追分・江差追分が収録されていて貴重。
青坂先生の本当に素朴で飾らない性格そのままの、語りの味わいは格別!
※このCDの拡大バージョンといえる「江差追分唄唄語り(改訂版)」〜青坂満・追分の本場を語る〜が追分会館で販売されています!
ひとりでも多くの人に、青坂満師を知ってもらいたいし、その唄を聴いて欲しいと思う。
この本はひとりの男への愛に満ちた素晴らしい評伝である。
目次
第一章 潮の匂いの青坂節
1.追分童子、2.追分修行、3.日本一へ挑戦、4.追分との葛藤、5.追分道場と追分セミナー、6.北前船の追分巡行、7.江差追分を後世につたえて
第二章 鼎談・人生というのは追分である 青坂満・木村香澄・松村隆
第三章 江差追分の歴史と曲譜
あとがき、参考文献、江差追分略年譜と青坂満経歴
以下個人的なことです。
今年9月、追分会館へおじゃまして、道場にて青坂先生とお会いすることが出来ました。目の前で、物凄い声量で唄っていただいた江差追分に圧倒され、先生の親しみ深いお話と語り口、飾らないお人柄が、なによりありがたく、嬉しく感じました。大好きな江差で、とても貴重な時間を過ごすことができ、感謝の気持ちでいっぱいです。
江差追分競演 ベスト
まさか自分が江差追分のCDを買って聴くとは・・・。
正直、民謡のみの字も興味が無かったし、自身の音楽的嗜好からは遙かに遠く・・・。
出会いは、GWに「えさし海の駅開陽丸」でのイベントで、雨天だったが、ブラスバンドの演奏後に数曲女性の方が歌ったのが江差追分だったと思う。
かすかに聴こえるその唄は、かもめ島から見る海、光景に自然に溶け込んでいた。
かもめ島の景色が忘れられず今夏再訪、快晴、午後3時位から水平線に陽が沈むまで、かもめ島で海を眺めた・・・、不思議な岩礁の風景の中、深い青と鮮やかな青と緑の海、波の音、カモメの鳴き声、潮の香り、穏やかな海の風・・・、至福の時だった。
心に焼きついたあの光景に、江差追分は欠かせない。
基本、最初と最後に三味線が入る他は、唄独唱であり、伴奏は尺八と途中「ソイー、ソイ!」と添え掛けが入る実にシンプルな構成。
このシンプルさが最大の魅力、美しい・・・。
1曲6分から7分台で、10曲(10バージョン)あるが唄の文句が少しずつ違う。
いつか、古い音源もまとめてCD化して欲しい。
静寂と唄、眠っていた心の奥底から湧き出る感情の源流、日本人のソウル・ミュージックかもしれない・・・。
CD帯には「節回しに技巧の細かさと美しさを必要とするので最も歌唱力が問われる民謡の1つ」とある。
片や「江差追分物語」の著者、館さんは「父さん、母さん、と呼べるだけの声があれば、追分は唄える」という近江八声師の言葉を紹介し、「おのれの慰めとして好きなときに好きなところで、心のままに唄うことの出来る本来の追分のすばらしさ」と書く。
出会いに感謝し、ゆっくりと親しんでいこうと思っている。
※2012年の江差追分全国大会は、50回記念大会!(素晴らしい伝承の力!)
正直、民謡のみの字も興味が無かったし、自身の音楽的嗜好からは遙かに遠く・・・。
出会いは、GWに「えさし海の駅開陽丸」でのイベントで、雨天だったが、ブラスバンドの演奏後に数曲女性の方が歌ったのが江差追分だったと思う。
かすかに聴こえるその唄は、かもめ島から見る海、光景に自然に溶け込んでいた。
かもめ島の景色が忘れられず今夏再訪、快晴、午後3時位から水平線に陽が沈むまで、かもめ島で海を眺めた・・・、不思議な岩礁の風景の中、深い青と鮮やかな青と緑の海、波の音、カモメの鳴き声、潮の香り、穏やかな海の風・・・、至福の時だった。
心に焼きついたあの光景に、江差追分は欠かせない。
基本、最初と最後に三味線が入る他は、唄独唱であり、伴奏は尺八と途中「ソイー、ソイ!」と添え掛けが入る実にシンプルな構成。
このシンプルさが最大の魅力、美しい・・・。
1曲6分から7分台で、10曲(10バージョン)あるが唄の文句が少しずつ違う。
いつか、古い音源もまとめてCD化して欲しい。
静寂と唄、眠っていた心の奥底から湧き出る感情の源流、日本人のソウル・ミュージックかもしれない・・・。
CD帯には「節回しに技巧の細かさと美しさを必要とするので最も歌唱力が問われる民謡の1つ」とある。
片や「江差追分物語」の著者、館さんは「父さん、母さん、と呼べるだけの声があれば、追分は唄える」という近江八声師の言葉を紹介し、「おのれの慰めとして好きなときに好きなところで、心のままに唄うことの出来る本来の追分のすばらしさ」と書く。
出会いに感謝し、ゆっくりと親しんでいこうと思っている。
※2012年の江差追分全国大会は、50回記念大会!(素晴らしい伝承の力!)